NRG 日本理容技学建設会
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第2回 理美容師として扱う薬剤や化粧品、香粧品の成分について
東京本部 矢代貴浩 cutproducef.y@rice.ocn.ne.jp 

 今日、私達のまわりには、たくさんの化粧品や薬剤が存在します。その中で、理美容師として扱うものも数多くあり、どれを選ぶかは人それぞれだと思います。
 皆さんは、どんなポイントに重点をおいて選んでいますか? 価格?流行?理美容業においては、お客様の反応も大事ですよね。匂い(香り)やデザイン(見た目)、使いやすさ、挙げればきりがありません。そんな中で「含有成分」を知る(見る)事も大切だと私は思います。
 なぜなら私達が普段使っている化粧品や薬剤には、人によってはアレルギー反応を起こしたり、何らかの人体へのトラブルを起こす可能性のある物質も含まれているからです。
 最近では一般のお客様でもインターネットなどで調べれば分かる時代。使う(施術する)側のプロとしてお客様に使用するものをより詳しく知ることは理美容師としてのお客様との信頼関係(信用)へと繋がる大切な知識だと思います。
 今回は、そのアレルギー反応や人体へのトラブルを引き起こす可能性のある物質(成分)についてまとめましたので、今まで気に留めていなかった方は自分の使っているものをより深く知るためのヒントに、また普段から注意していた方は、その知識をさらに深めるきっかけにして頂ければ幸いです。


○医薬品・医薬部外品・化粧品の違い
 ※今回の資料を読んで頂く前に知っておいて頂きたい基礎知識の一つです。
私達が普段お客様に使用しているパーマ剤やカラー剤、それにシャンプー、トリートメント、シェービング後に塗布する乳液やパウダー、それから整髪料、これらはすべて「医薬部外品」や「化粧品」に属します。その他に「医薬品」という言葉をよく耳にすると思いますが、ではそれらの違いは何なのか。
簡単にまとめてみます。

 (1)医薬品
 医薬品とは飲んだり、塗ったり、注射したりすることにより人や動物の疾病の診断、治療、予防を行うためのものです。
 その中で医師などからの処方箋交付を受けた者以外に対しては正当な理由なく販売または授与してはならないと厚生労働大臣が指定したものを医療用医薬品と言います。
 また、医師などによる処方箋を必要とせずに購入できるものを一般用医薬品と言います。
 (2)化粧品
 化粧品とは、体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりする目的で皮膚などに塗布等するもので作用の緩和なものを言います。いわゆる基礎化粧品、メーキャップ化粧品、シャンプーなどです。
 (3)医薬部外品
 医薬部外品とは、日本の薬事法に定められた医薬品と化粧品の中間的な分類で、人体に対する作用の緩やかなもので機械器具でないものです。予防効果を謳ったり、医薬品よりは緩和だが人体に何らかの改善効果をもたらすものがこれに含まれます。
 ※薬用化粧品と言われる化粧品は薬事法上、化粧品ではなく医薬部外品に分類されますが医薬部外品の概念は日本や韓国など一部の国にのみあるもので、多くの地域には、そのような概念がないため日本で医薬部外品にあたるようなものが化粧品として販売されていることがあります。

 ○旧表示指定成分とアレルギー
 私達理美容師が普段お客様に使用しているシャンプーやトリートメントは化粧品に属し、カラー剤等は医薬部外品に属するということがお分かり頂けたと思います。
 では次に、私達が使っている医薬部外品や化粧品には、それに含まれている物質(成分)が容器や箱に記載されています。記載されている数多くの成分の中で、ほんの数種類ではありますが、冒頭で述べたアレルギー反応や人体に対し何らかのトラブルを起こす可能性のある物質(成分)が含まれているのです。ですが、一見みただけでは、どれがその物質(成分)なのかは分からないと思います。
 そこで必要になってくるのが「旧表示指定成分」と呼ばれるものです。
 「旧表示指定成分」とは1980年に「アレルギーなどを起こす可能性のある成分」として当時の厚生大臣(現在の厚生労働大臣)が指定し、商品への表示を義務付けたもので全部で103種類あります。

 厚生労働省が(旧厚生省時代の)1980年に、厚生省告示第167号によって指定した表示指定成分は次の103種です。
 ただし、現在は全成分表示が義務付けられているため、理美容業界では一般的に「旧表示指定成分」と呼ばれています。
 なお、異なる名称を持つ成分については重複して記入していますので、その数は103種類を超えています。
 また、各成分の毒性については、最新の研究結果をもとに簡略化して記してあります。

名  称 起こす可能性がある身体への影響・トラブル
殺菌・防腐剤  
安息香酸(安息香酸塩) 皮膚・粘膜・眼・鼻・のどを刺激。飲み下すと胃腸障害。
多量だと強い急性毒性。
イソプロピルメチルフェノール 皮膚発疹・吹き出物など。飲み下すと神経失調などをひき起こす。
ウンデシレン酸 皮膚毒性は弱いが、飲み下すとめまい・頭痛・腹痛。
ウンデシレン酸モノエタノールアミド 皮膚毒性は弱いが、飲み下すとめまい・頭痛・腹痛。
塩化ベンザルコニウム 眼に入るとアレルギー性結膜炎の報告がある。
塩化ベンゼトニウム 皮膚毒性は弱いが、飲み下すと嘔吐・痙攣・虚脱・昏睡などをひき起こす。
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン 発育停滞・クレアチン尿症・白血球減少。
塩酸クロルヘキシジン 皮膚毒性は弱い。強いアルカリ反応を起こす。
オルトフェニルフェノール 皮膚・粘膜を腐食。飲み下すと肝臓障害など。発がん性がある。
グルコン酸クロルヘキシジン 毒性は弱い。まれに発疹・めまいなどの過敏症状。
クレゾール(クロルクレゾール) 皮膚発疹・吹き出物など。飲み下すと消化不良・神経失調・黄疸など。
クロラミンT 皮膚・粘膜を刺激。アレルギー反応。
クロルキシレノール 皮膚・粘膜を刺激・腐食。致死性・発がん性がある。
クロルフェネシン 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
クロロブタノール 皮膚に刺激。飲み下すと嘔吐など。多量だと精神錯乱・心臓機能低下。
サリチル酸 皮膚・粘膜を刺激・腐食。発疹・角膜剥離。飲み下すと致死性。
臭化アルキルイソキノリニウム 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
臭化ドミフェン 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
ソルビン
(ソルビン酸塩)
敏感な皮膚・粘膜を刺激。環境中の亜硝酸と反応して発がん性がある。
チモール

人により皮膚アレルギー反応。

飲み下すと嘔吐・下痢・頭痛・循環器障害など。

チラム 皮膚・粘膜・胃・のどを刺激。飲み下すと毒性。
デヒドロ酢酸(デヒドロ酢酸塩) 皮膚毒性は弱い。飲み下すと嘔吐・痙攣・肝臓機能障害など。
トリクロサン 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
トリクロロカルバニリド
(トリクロロ・レバン)
毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。発がん性の疑い。
パラオキシ安息香酸エステル(パラペン) アレルギー性湿疹。飲み下すと嘔吐・かゆみ・発熱・肝炎など。
ハロカルパン 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
フェノール 皮膚・粘膜を強く刺激。皮膚発疹。中毒死の場合あり。発がん性あり。
ヘキサクロロフェン

人により皮膚過敏症を起こす。

小児への毒性が警告され、アメリカ合衆国は使用禁止の方針。

ラウロイルサルコシンナトリウム 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
レゾルシン

皮膚・粘膜を刺激。チアノーゼ・昏睡・腎臓障害。

敏感症やアレルギー症の人は危険な中毒を起こし致死する。

ベンジンアルコール 皮膚・粘膜を刺激・腐食。飲み下すと腹痛。
合成界面活性剤 
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS) 皮膚が乾燥し荒れる。湿疹の原因物質とされる。催奇形性の疑いあり。
塩化アルキルトリメチルアンモニウム 副交感神経を刺激。胃痙攣、嘔吐、発疹など。
塩化ジステアリルジメチルベンジルアンモニウム 毒性は弱い。高濃度で皮膚・粘膜に刺激。
塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム 毒性は弱い。高濃度で皮膚・粘膜に刺激。
塩化ステアリルトリメチルベンジルアンモニウム 毒性は弱い。高濃度で皮膚・粘膜に刺激。
塩化セチルトリメチルアンモニウム 皮膚・粘膜・眼を刺激。多量に飲み下すと致死性。
塩化セチルピリジウム 皮膚・粘膜・眼を刺激。多量に飲み下すと致死性。
塩化ラウリルトリメチルアンモニウム 副交感神経を刺激。胃痙攣・嘔吐・発疹など。
臭化セチルトリメチルアンモニウム 皮膚毒性は弱い。飲み下すと嘔吐・痙攣・昏睡など。
セチル硫酸ナトリウム 皮膚・粘膜を刺激。
直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム 皮膚が乾燥し荒れる。湿疹の原因物質とされる。催奇形性の疑いあり。
ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩類 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
ラウリル硫酸塩類 皮膚が乾燥して荒れる。毛髪の発育障害・視力低下・白内障。
アルカリ剤 
ジイソプロパノールアミン 皮膚・粘膜を刺激。
ジエタノールアミン 眼・皮膚・粘膜を刺激。
トリイソプロパノールアミン 皮膚を乾燥させ、ひび割れを生じさせる。
トリエタノールアミン
(ラウリル硫酸リエタノールアミン)
皮膚・粘膜・眼を刺激。発がん性の報告あり。
パラクロロフェノール 皮膚・粘膜を強く刺激。中毒死の場合あり。発がん性あり。
ラウリル硫酸トリエタノールアミン
(トリエタノールアミン)
皮膚・粘膜・眼を刺激。発がん性の報告あり。
酵素類 
塩化リゾチーム 発疹・食欲不振・胃部不快感・嘔吐・下痢・口内炎など。
保湿剤 
ジプロピレングリコール 皮膚毒性。飲み下すと内臓障害。染色体異常・赤血球減少。
プロピレングリコール 皮膚毒性。飲み下すと内臓障害。染色体異常・赤血球減少。
ポリエチレングリコール 皮膚毒性は弱い。飲み下すと肝臓・腎臓障害。発がん促進作用あり。
皮膜剤 
セラック 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
天然ゴムラテックス 皮膚・粘膜を刺激。発疹・腫れ・水ぶくれ・腫れもの・眼の障害など。
トラガント アレルギー反応・皮膚炎。飲み下すと腹痛・ぜんそく。
ロジン 皮膚・粘膜を刺激。 接触皮膚炎。
エモリエント剤(油分補給剤・皮膚軟化材) 
還元ラノリン 接触性皮膚発疹・アレルギー性皮膚炎。
硬質ラノリン 接触性皮膚発疹・アレルギー性皮膚炎。
酢酸ラノリン 接触性皮膚発疹・アレルギー性皮膚炎。
酢酸ラノリンアルコール 接触性皮膚発疹・アレルギー性皮膚炎。
水素添加ラノリンアルコール 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
ステアリルアルコール 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
セタノール 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
セトステアリルアルコール 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
ラノリン 接触性皮膚発疹・アレルギー性皮膚炎。
ラノリンアルコール 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
収れん剤(細胞膜の透過性を低下させる溶剤) 
イクタモール 皮膚・粘膜を刺激。飲み下すと胃腸障害・下痢。
パラフェノールスルフォン酸亜鉛 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
乳化剤 
ミリスチン酸イソプロピル 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
ラノリン脂肪酸イソプロピル 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。

酢酸ポリオキシエチレンラノリンアルコール

毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
ポリオキシエチレンラノリン 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
ポリオキシエチレンラノリンアルコール 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性がある。
金属イオン封鎖剤 
エデト酸(エデト酸塩) 皮膚・粘膜に刺激。
アレルギー症状・血圧低下・腎臓障害など。染色体異常・変異原性(バクテリアの突然変異)の報告あり。
紫外線吸収剤(UVカット) 
オキシベンゾン 飲み下すと吐き気。多量だと急性致死毒性。
サリチル酸フェニル 皮膚・粘膜を刺激・腐食。発疹・角膜剥離。多量に飲み下すと致死性。
シノキサート アレルギー性皮膚発疹。
パラアミノ安息香酸エステル 過剰投与による嘔吐・薬物発疹・中毒性肝炎。
ベンゾトリアゾール 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
酸化防止剤 
カテコール 皮膚を腐食。飲み下すと痙攣、ひきつけ。
酢酸トコフェロール 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
ジブチルヒドロキシトルエン(BHT) 皮膚炎・過敏症。飲み下すと体重低下・脱毛・異常行動など。発がん性の疑い・変異原性の報告あり。
ブチルヒドロキシアソニール(BHA) 皮膚毒性は弱い。飲み下すと歩行失調・潰瘍形成・肝臓鬱血など。
没食子酸プロピル 体重減少、成長遅滞、胃潰瘍。染色体異常の報告あり。
ホルモン類 
エストラジオール 薬理作用の激しい医薬品で、重大な副作用や発がん性がある。
エストロン 薬理作用の激しい医薬品で、重大な副作用や発がん性がある。
エチニルエストラジオール 薬理作用の激しい医薬品で、重大な副作用や発がん性がある。
酢酸コルチゾン 薬理作用の激しい医薬品で、重大な副作用や発がん性がある。
ジエチルスチルベストロール 薬理作用の激しい医薬品で、重大な副作用や発がん性がある。
ヒキセストロール 薬理作用の激しい医薬品で、重大な副作用や発がん性がある。
ヒドロコルチゾン 薬理作用の激しい医薬品で、重大な副作用や発がん性がある。
プレドニゾロン 薬理作用の激しい医薬品で、重大な副作用や発がん性がある。
プレドニゾン 薬理作用の激しい医薬品で、重大な副作用や発がん性がある。
抗ヒスタミン剤・消炎剤 
塩酸ジフェンヒドラミン 皮膚に過敏反応。飲み下すと嘔吐・ぜんそく性発作など。
グアイアズレン 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
グアイアズレンスルホン酸ナトリウム 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
毛根刺激剤 
カンタリスチンキ 皮膚・粘膜を刺激。充血・熱感を生じる。多量に飲み下すと致死性。
ショウキョウチンキ 毒性は弱いが、人によってアレルギー症状を引き起こす可能性あり。
トウガラシチンキ 皮膚を刺激。飲み下すと嘔吐・下痢・腹痛。
ニコチン酸ベンジル アレルギー反応による発疹・かゆみ・食欲不振・肝臓障害など。
ノニル酸バニリルアミド 成長遅滞・内臓機能障害など。
染毛剤 
ピロガロール 皮膚・粘膜への極度の刺激。中毒死の場合あり。
飲み下すと致死性がある。
パラフェニレンジアミン 喉の刺激。気管支喘息。皮膚過敏症。
色材・色素 
タール色素 タール色素のうち、アゾ色素はアレルギー反応を起こし、黒皮病の原因とされる。発がん性・変異原性を示すものもある。キサンチン色素は、皮膚への刺激・発赤などの強い毒性がある。変異毒性があり、発がん性が疑われている。
アゾ色素(タール色素) アレルギー反応を起こし、黒皮病の原因とされる。発がん性・変異原性を示すものもある。
キサンチン色素(タール色素) キサンチン色素は、皮膚への刺激・発赤などの強い毒性がある。変異毒性があり、発がん性が疑われている。
香料 
香料 アレルギー性接触皮膚炎を起こす。
 ただし、上に載せた「旧表示指定成分」は、全ての成分が誰にとっても悪影響を及ぼすというわけではありません。アレルギー反応を引き起こすアレルゲンは人によってさまざまですし、また「旧表示指定成分」以外でもアレルギーの症例が報告された物質(成分)も多数あるそうです。なかには、天然・自然の成分にかぶれたりするかたもいます。
 したがって、「旧表示指定成分が入っているから危険」ではありません。また「旧表示指定成分が入ってないから絶対大丈夫」ということでもないのです。
 大切なのは、お客様に使用する薬剤や化粧品を選ぶうえでの判断材料の一つとして常に頭の片隅に置いておくことだと思います。