NRG 日本理容技学建設会
 
 
 『毛利佳正の縮毛矯正講座』では、公開質問を受け付けています。質問に対する答えは、担当の毛利講師が本講座内でお答え致します。質問は、情報システム部で受け付けます。質問はこちらから→縮毛矯正質問受付
 質問は、日技会員に限ります。メールに質問内容と本部名・お名前も明記して下さい。但し公開時には、イニシャルのみ、または在籍本部名のみにて表示します。
 過去分への移動はこちらから→  第1回 看板メニューの意味           第2回 基本的プロセス 
第3回 カウンセリング&毛髪診断  第4回 薬剤選定                 第5回 プレシャンプー&カット 
第6回 ブロッキングと薬剤塗布   第7回 還元チェックと中間水洗&中間処理  第8回 ドライ&ブロー 
第9回アイロン~仕上げ        第10回 使用薬剤                第11回 器具・処理剤  
第12回 ケーススタディー1      第13回スピエラ矯正               第14回アルカリ矯正   
第15回還元状態のチェック    第16回 ラインパーマ    
                                                     
第16回 平成27年8月17日                        ページトップへ     

 ラインパーマ
当店では縮毛矯正のお客さまが多いのですが、ここ1年くらいでバッサリとカットする方がとても多かったんですね。
当然ですが、パッツンとした毛先になりがちですので、そのままじゃスタイルにならないわけです。
そこで活躍するメニューを紹介します。
施術に関しては、言葉や文字でお伝えできるようなものではないので割愛しますが、カールでもなく、ウエーブでもなく、“ライン”を作るパーマです!
“出来るんだ!”という可能性としてご覧いただければと思います。
それから知っている方もいると思うのですが、ネット上では「ストパン」という技術が理美容師さんの間で盛り上がっていますが、その施術は自分も見たこともないですし、内容も知りません。パクリではないので!wwwww

施術上の注意点をいくつか・・・
☆毛先まで還元できる余力が毛髪に残っている事!(最重要)
※同時施術はここが一番の難関です。判断が付きにくい場合は、矯正をすべて終わらせてから、改めて薬剤処理から入ります。
☆曲げられるだけの還元、行き過ぎない還元を設定出来ること!
☆形成に必要な水分コントロールがしやすい中間処理が出来ること!
☆曲がることができるカットであること!

では施術例を見てください。
お客さまは10カ月~1年サイクルで矯正をされています。ノンカラーでリッジ、毛髪強度共に強く、アルカリチオのハードタイプの薬剤で矯正してきています。
カット後のビフォーです。



プレカットでベースと7、8割くらいの削ぎまでやってあります。
薬剤選定はこれまでと同じですが、既矯正部は新生部よりも減力した薬剤で塗り分けます。
タイム後、中間処理はアルカリカラーの研修会でもご紹介したアルキルカチオンコンプレックスです。保水性が高く保てるようにこれで処理をします。
自分の基本通りにツインブラシでブローを行い、ストレートアイロンで処理します。
アイロンの際には、新生部用と既矯正部用(布巻き)の2本のアイロンを用意して、熱入れを変えます。新生部はカッチリと伸ばす為に2スルー、アールを入れる部分は布アイロンで1スルーという感じです。
全体にストレートアイロンを処理したら、アイロンパーマ用のカールアイロンでアール処理です。
そのままオキシの2剤で酸化処理。カール固定でロッド巻きなどは意味がないので一切しません。
2剤お流し後、ハンドドライして削ぎなどカットの調整を行い仕上げます。

アフターです。

 

どうでしょ?
うちでは「ラインぱーま」っていうメニューです。w
ちなみに直毛や跳ねやすい方でストレートラインを求める方にも効果的な方法だと思います。



第15回 平成26年8月29日                                 ページトップへ    
 還元状態のチェックについて

 
参考になりそうなリアルな画像を撮ったので紹介します!
 矯正の授業でほぼ100%質問されるのが1剤還元処理後のチェックです。
 1剤のチェックでどのくらい伸びていれば???ってことですね。
 
答えは“伸びてなくて良い”です。
 
伸びているか?よりも還元が来ているか?のほうが大事です。

 
お客さまのビフォーです。
 
細毛、ノンカラーでリッジはかなり強いのですが顔周りは極端に細毛でスチールウールのような強いクセです。前回3か月前ですが中間はウエーブバックしています。

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 薬剤処理は根元新生部・ウエーブバック部分・顔周りの弱い髪などすべて薬剤のパワーを変えて塗り分けしています。ウエーブバックから先はプロテクション剤で完全保護です。
 途中割愛しますがブロー途中のウエット状態です。
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 今回はこの部分を参考にして欲しいと思います。
 還元とともにアルカリでも少し軟化しているのでクセはやや緩んでいますがリッジは残っていますね。

当然ですが縮毛矯正は“前処理還元”ですから形成工程は還元後です。なので1剤処理完了時点でクセが伸びている必要は全くないわけです。その後のストレート形成工程でクセを伸ばせるだけの還元が完了しているか?が大事なのです。
 これを“引っ張って○○%伸びる”とか“クセが伸びていないとダメ!”という事だけを参考にしていたら安定した還元処理は見えてきません。
 
薬剤のスペックということをパーマ系の講習会ではお話します。まあ、受講生の皆さんは拒否反応なのか意識を失う方も多いですけどねwww。
 最初は難しくても本当はそういう知識をきちんと学ぶほうが思考がまとまり安定した還元処理ができるようになってくるはずです。
 自分の矯正技術においては、、、
 “このクセ、このリッジでこの毛髪強度ならpH○・アルカリ度○・還元剤濃度○%で還元剤はこれこれ・・で、還元タイムはこのくらい・・・”というように理論に基づいた“経験と勘“によって成功も失敗もその判断基準はより明確になるわけです。

 ではウエットでクセが出ていたものをブローした状態です。
IMGP4521.JPG
 水分がたっぷりと髪に入っている状態からブラシでストレート状態を維持して一気にブローで水分を抜きます。還元が適正に達していない場合はこのように伸びません。あと、例外でブローが効きにくいアイロン優先の髪質もボワボワしたりして伸びにくい感じがします。
 前者の還元が適正に達していない場合はブローを中断し、冷温風のドライに切り替えてアイロンメインの施術に変更します。後者のブローが効かない髪質は経験から判断でブローは追いすぎない感じにします。
 適正にしろ不足にしろ還元された状態を一切無駄にしない形成工程の技術力は大切です。
 ブロー後はアイロン→2剤→バッファーなどの後処理をしてハンドドライです。
 カットは無しなのでアウトラインが微妙ですが・・・ww
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 このお客さまがこの長さをキープしていくとして根元に施術した状態を3年半程度はダメージとして良い状態を維持させる必要があります。
 その場だけ伸びれば良いという意識ではやり過ぎになり毛先は常に枝毛だらけのボソボソになるかも知れません。
 ということで今回は1剤処理後、チェックやウエットでクセが出ていても還元さえ適正に来ていればきちんと形成工程を行い十分に仕上げることができる!ということを認識していただけたらと思います。


第14回 平成25年10月16日                                   ページトップへ   
 アルカリ矯正
 前回はスピエラ矯正をご紹介しました。さて、今回はアルカリ矯正です。酸性矯正のスピエラを紹介した後になんでまたアルカリ?って感じですけどね!笑!
 この講座でお話しした基本的な縮毛矯正の方法とは少しアプローチを変えています。これもスピエラ同様で詳しいことをココではお話出来ませんが、縮毛矯正を成立させた上で毛髪強度を最大限に維持する方法になります。

 それではビフォーです。前回の矯正は2年前です。カラーは1,2カ月毎に明るめのグレイカラー。毛髪強度はかなり低い方だと思います。また、毛髪サイクルが異常であり、セニングのように見える部分はすべて新生毛の毛先です。全体の毛髪強度の低さや脆弱な新生毛ばかりなのでちょっとのオーバーパワーでビビになる可能性があります。皆さんはどのようなレシピとアプローチをしますか????
   
 先日、カラーで初めてご来店し、「矯正したいのですがどうでしょうか?」ということでした。今までのサロンでは毛髪強度も弱いためにカラーダメージも考えて矯正はしないほうが良いとアドバイスされていたようです。
 ある意味、それは正解だったのでしょう。一般的なサロンの矯正技術では先ほどもお話しした通り、ビビリなどのトラブルになる可能性は高いです。担当の美容師さんは薬剤やシステムに頼らず、自身の力量で判断したのだと思います。
 状態的には毛先まで還元処理しないと収まらないので、根元~毛先までを還元コントロールしています。ph9のチオ系とph7のシス、チオグリセリンの薬剤を毛髪強度に合わせてミックスして根元から毛先まで3種類の薬剤で5段階に還元をさせています。
 薬剤タイムは13分。中間のシャンプーやコンプレックスを行い、アイロン前のドライはトップ、フロント、フェースラインの髪の弱い部分を強熱のツインブラシでブロー、他は弱熱+冷風でハンドドライ+毛先だけ強熱のデンマンブローでドライコントロールしました。
 ドライ後はシークレットなプロセスを行い、アイロンは180度で2,3スルー、毛先だけ数スライスまとめて布アイロンです。このあたりは講習のみでお伝えしております。
 オキシ2剤で3分、お流ししてドライのみの仕上がりです。カットも無しです。
 毛髪のダメージは最低限になっていると思います。強度を維持している為、艶感や根元の立ち上がり、ハリコシも十分良い状態ですね。お客様は年齢的な加齢毛とダメージで縮毛矯正を諦められていたのですが、久しぶりにキレイなストレートになって大喜びでお帰りになりました~!
    

 酸性矯正だろうがアルカリ矯正だろうが求める結果は同じです。なので酸性だから良いとかそういう事は一切ないんですね。薬剤や毛髪のことを考え、それを生かす知識とひらめきで結果は出てきます。そしてそれらは特別講座のヘアケアやこの縮毛矯正のなかにすべてを記しています。算数で10という数字の答えにするアプローチは沢山ありますね!5+5=10だけ出来るようになっても意味がない事が皆様もおわかりだと思います。
 こういう機会に色々考えてみていただけたらな~!と思います。それではまた!


第13回 平成25年9月14日                                      ページトップへ  
 
スピエラ矯正
 今回は、研修会のメンズアイロンエボリューションでも紹介した、「スピエラ」(ラクトンチオール)という還元剤を使用した縮毛矯正です。以前から複合還元によるスピエラ使用は普通に行われていましたが、スピエラオンリーの矯正をどんなクセにも行うということは過去ありませんでした。
 ・・・というよりもスピエラオンリーでクセが伸びるわけがないという概念がありましたし、確かにクセを伸ばすにはそれ相応の知識と応用が必要だったのです。そんな中、大阪にある縮毛矯正専門店「ASエース」というサロンの岸口新志さんという美容師さんがスピエラオンリーの矯正を研究し、今年の7月から全国的に講習を始めたところです。
 自分も「GMT」(グリセリンモノチオグリコレート)という還元剤で矯正の研究をしていて、スピエラと似た様な性質の剤であったことから、岸口さんともそれ系の薬剤での矯正施術に関して情報交換をしながら現在のスピエラ矯正が出来あがって来たわけです。
 ここでは、すべてのノウハウをお伝えしたいのは山々なのですが、、、、何せ最先端であり、情報としての価値と考案者個人の利益を考慮するとお伝えできる内容は深くは出来ませんが、その最先端の縮毛矯正の片鱗だけでも会員の皆様にお伝えしようと思います!興味を持った方は詳しい施術をしんびよう出版発行のマルセル12月号で発表予定ですので是非ご覧くださいね。それではスピエラ矯正についてお話ししますね!
 スピエラとは酸性領域のphで活性する還元剤であり、アルカリのように毛髪の膨潤をさせずに還元ができる薬剤です。アルカリダメージを避けることができる為、毛髪への負担は軽減されることが容易に理解できると思います。ただ、還元効率は非常に高く、10分程度で強烈なリッジの縮毛をストレートに出来る還元が完了してしまうほどです。
 しかしながら毛髪が膨潤していないということは、還元されてもコルテックスの移動や変形する隙間もあまりなく、「伸ばす・曲げる」という作用の為には、時間や工夫が必要で実際の形成が難しいのです。このようなことから「スピエラは弱い薬剤だ!」「金髪などハイダメージ用」というイメージが先行していたわけです。
 既にピンとくる方は酸性領域で還元、形成出来ることがその仕上がりや経年変化による劣化に対してどれだけ有利であるかはイメージできますよね???それでは、実際の施術のビフォーアフターをいくつかご覧いただきましょう!

★ケース1
 【ビフォー】
 このお客様は3~4か月サイクルで矯正しており、普段はHクラスの矯正剤で28分程度の還元時間で伸ばしている方です。アルカリダメージに非常に弱く、その割にリッジも非常に強く伸びにくいタイプです。しかも、ダメージの進行も早い感じで、バッチリ伸ばそうと思うほどにダメージは増してしまいます。薬剤の塗り分けも非常に繊細に行う必要があり、簡単にビビリになってしまう難易度のかなり高い髪です。
   
 【アフター】
 毛先まで一発塗布です。タイムは15分。諸々のストレート形成工程を経て、仕上がりです。アウトラインは少しカットしてありますが、ブロー無しのドライ状態です。今まで薬剤の繊細な選定と塗り分け、ストレート形成のテクニックを駆使しても理想の仕上がりには及ばなかった髪が、今までの苦労を踏みにじられるかの如くすっきりキレイに仕上がってしまいました。大笑!!当然、アルカリダメージがない分、髪は生き生きとした動きや質感を放っています。
   

★ケース2
 【ビフォー】
 このお客様は静岡からのご来店の方です。遠方な上に小さいお子さんがいることもあり、前回から1年半くらいです。途中、他店での乱雑なカットで中間にも沢山セニングが入っており、ウエットにするとセニング部分にクセが強く出てグジャグジャになってしまっています。リッジは見た目より強いわりにやはり非常に弱い髪で、通常Hクラスの薬剤とSクラスの薬剤を1:2くらいの弱めの設定でギリギリまとめる施術していました。
   
 【アフター】
 今回はスピエラで毛先まで一発塗布で10分。仕上げは勿論ドライのみ、オイルなども一切付けていません。今までの自分の矯正の研究をバカにされたかのように毛先まですっきりとなめらかに矯正出来ました。汗!!!
 

★ケース3
 【ビフォー】
 メンズです!矯正は初!多毛で、ゴワゴワとしたクセでセニングも結構入っています。カラーダメージで毛髪強度も弱っています。通常ならHクラスとSクラスを1:1で20分程度の還元が必要なクセです。あとはメンズヘアということもあり、ピンピンにならにようにアイロン操作など気を使うところです。
  
 【アフター】
 今回はスピエラ15分、仕上げは勿論ドライのみ。アルカリであれば、どうしてもアルカリダメージによる硬さが出やすいことによるセニング部分の収まりの悪さや髪のしなやかさが失われがちですが、酸性域での還元により髪の強度はかなり維持できる為、自毛の弾力と矯正されたことによるしなやかさが出て自然なストレート状態に仕上がっています。
   

■ケース4
 【ビフォー】
 新規のお客様です。ノンカラーで前回の矯正は1年半前くらいですが、キレイに伸びていなかった感じです。既矯正部はダメージと伸びてないぼそぼそが混じっていて毛先は濡らすと軟化してしまっています。このクセなら通常はHクラスの薬剤で25分程度の還元が必要になります。
   
 【アフター】
 スピエラ15分、毛先手前まで塗布しておいて、タイムを入れてから毛先塗布です。仕上げはドライのみ!乱雑なカットとダメージで毛先の収まりが若干悪いですが、ビフォーの状態からすれば十分な仕上がりだと思います。勿論、軽くブローしてオイルなどを付ければキレイに収まってしまいます。
   

 4つのケースを紹介しましたが、すべてのケースで特別に中間処理や後処理はしていません。また、カラー・ノンカラー・ダメージ(過度な軟化はNG)に関係なく、薬剤も同じで還元時間も10~15分で出来てしまいます。
画像ではわからないのですが、スピエラ独特の髪のしなやかさがあります。これは実際に施術した技術者とお客様だけが実感できると思います。
 ただ、勘違いして欲しくないのは「普通のアルカリの剤より、スピエラのほうが良い!」などということではありません。より、守備範囲を広げられる技術として捉えています。
 自分はスピエラやGMTでの矯正を通して、今までのコールドパーマ、デジパー、アイロンパーマ、、、すべての還元剤使用の施術がレベルUPし、様々な理論がキレイに繋がりました。アルカリ矯正の更なる進化も出来ています。
 最後にスピエラ矯正のメリットデメリットをお伝えします。まだまだこれからの矯正なので様々な創意工夫がされてくると思いますが、現状において自分が感じるところです。

■メリット
 1・アルカリダメージがない為、自毛の強度を最大限維持することが可能
 2・履歴の不明瞭な状態に使いやすい
 3・アルカリカラーと同時施術がしやすい
 4・加齢毛やハイトーンカラーなど毛髪強度の弱い髪に使いやすい
 5・やわらかい伸び感なのでショートヘアでもなじみやすい
 6・前回部分とのオーバーラップはアルカリに比べて余裕がある
 7・強度が保てる為、後のパーマ等の対応がしやすい

■デメリット
 1・1剤処理でのプロテクションクリームなどでのダメージコントロール(薬剤の減力や保護)がほとんど効かないので薬剤が付いたら必ず還元してしまう。(現在研究中)
 2・即時還元するほどに強く、早い還元作用があるので1剤お流しの際に毛先など注意が必要。
 3・形成工程が難しく、毛髪科学や形成理論などの知識と工夫が必要。
 4・毛髪内部に還元が広く拡散してしまう為、酸化処理が不十分になりやすい。
 5・酸性と言っても還元力が強いので、クタクタにダメージしている髪には使えない

 ざっくりとこんな感じでしょうか・・・
 現在の社会的状況では将来的にカットサロンはどんどん淘汰される可能性が高いと感じます。
 自分も今回ご紹介した矯正のみならず、お客様にしっかりアピールできる武器を備えるべく、さらなる技術研鑽を楽しもうと思います!

 ※スピエラ矯正に関しては、日技会では現在のところ毛利が講習可能です。
詳しい内容は講習受講者にのみお伝えいたします。様々な観点でデリケートな内容なのでご理解くださいませ。興味のある方は是非一度講習を受けてみてくださいね!


第12回 平成24年7月22日                                       ページトップへ
 
ケーススタディー1
 今回は実際の施術のケーススタディーをお伝えいたします。縮毛矯正のプロというサロンがどういう判断をして施術をしていくか?参考になれば幸いです。

 新規のお客様です。一見すると普通に出来そうな感じに見えますが、ビフォーはご来店のままの状態ですのでケア剤などでやや落ち着いているだけです。カウンセリングからシャンプーしてウエットとドライの確認で大変危険な状態であると共に相当な考慮をしないとならないと判断しました。
■ビフォー
  
   

☆履歴
・前回矯正6か月前、サイクルは4か月~6か月に一度の矯正。バック周辺は前回6か月前とは思えないリッジが残っています。この状態は中間毛先のダメージにとらわれ過ぎて根元の新生部分に対する薬剤選定をしていない為に起こりやすいパターンです。講座の第4回の薬剤選定でもお話したとおり、選定の順番は大切ですね。
また、リッジが残った部分のボリュームはセニングシザーで梳き切って取ってしまってあるため、余計に中間のリッジが強く出てしまっています。
 ・明るめのグレイカラー毎月(サロン)・・・サロンカラーであっても毎月となるとカラー剤のオーバーラップは1年で
見てもかなり重なりますね。今回の場合は見た目のクセよりもカラーダメージによる毛髪強度を見なければならない感じです。
 ・前回カラーが暗かったためブリーチ(サロン)・・・毎月の明るめのグレイカラーの履歴の上にブリーチなので最悪のコンディションです。CMCはかなりの欠損であると思われるのでどんな薬剤でも一気に過剰反応する恐れがあります。

 ☆ダメージ状態・・・既矯正部はビフォーの画像では見えにくいのですが、過度な薬剤作用と水分を残したドライによるアイロンでの過度なタンパク変性によるビビリやパサつきがあり、特にオーバーセクションには前回部分から中間あたりはビビリが多い。
先にも説明しましたが、新生部ではなく、中間のダメージ部分に対しての薬剤選定や薬剤の塗り分けをしない施術を繰り返しているため、常に根元が伸びなくて中間から毛先のダメージが増幅している悪循環になっています。
 ☆クセの状態・・・バックの中段付近はリッジが強い波状毛でフロントに向かってリッジが弱まっています。トップ~フロント周辺は加齢によると思われる毛髪強度の低下とボワボワした縮毛になっている感じです。・・・通常の薬剤選定であれば、バックの強い部分を決めて、弱い部分に向かって薬剤パワーを落とさなくてはなりません。
 ☆ビフォーの状態から何を考えて施術すれば良いか?

 ・特にオーバーセクションは前回の根元部分が完全にオーバーパワーの施術である為、薬剤作用させるだけの余力が全くない状態です。ドライではガリガリした手触りで熱によるタンパク変性も過度で、ウエットにするとクタクタに軟化してしまう。
わかると思いますが、水(ph7)で簡単に膨潤軟化するということは弱い薬剤だろうが簡単に浸透して一気に作用してしまう可能性が高く、現状はかろうじて髪としての形状を保っているという感じです。
本来は前回部分に薬剤をオーバーラップさせて矯正状態をつなげていくのですが、つなぎ目を減力したとしても必ずビビリになることが容易にわかるので前回部分には一切薬剤が入らないようにします。その為には、つなぎ目の少し手前まで新生部の為の薬剤を入れます。薬剤は拡散するので境目までいってくれれば伸びますが、境目手前は伸びなくても良いと考えましょう。さらにブリーチも入っていることと、万一少しでも境目に薬剤が付いてしまうことを考慮して薬剤選定は本来使いたい薬剤よりも1,2段落とした選定。これも伸びは十分ではないと思われますが、ボリュームさえ落とせば何とかまとまるので完璧は狙ってはいけないのです。
 ・アンダー~バックあたりは前回部分が全く伸ばせていないので出来るだけ薬剤を入れていきたいが、前回部分から先はオーバーパワーでやっておきながらも伸ばせていないパターンが想定できる為、安全策として前回薬剤が入ったであろう部分はオーバーセクションの新生部の長さを基準にしてそこから先はパワーを落とします。

 このようにして「履歴のゼロスタート」を行うわけですね。これはどこかで始めなければ今までの悪循環の繰り返しをするだけになってしまうのです。
 これらのことはお客様にも十分理解していただけるようにカウンセリングが重要になります。最低でも1年程度先までの施術に対してしっかりお話します。

■プロセス
前処理無し
1・薬剤塗布・・・通常はウエットで塗布しますが、塗布範囲を確実にみるためにドライで塗布します。
① バック 化粧品系のハード+ソフト(1:1)を新生部、同じ薬剤で(1:2)のものを伸ばせていないぎりぎ
りのところまで塗布。その先をプロテクトクリームで保護
② サイドは化粧品系のハード+ソフト(1:2)を新生部、つなぎ目に化粧品系ソフト+プロテクトクリーム(1
:1)を塗布。その先はプロテクトクリームで保護。
③ オーバーセクションは新生部に化粧品系のハード+ソフト(1:3)。但し、かなり危険なので境目にプロテク
トクリームを塗布してから新生部に薬剤塗布。先にプロテクトクリームを塗布することで境目に薬剤が作用しにくくなります。
 
 塗布タイム16分。塗布後は20分のタイマーを入れて、すぐにバックをチェックし異常がない事を確認。その後、5分毎にチェック。

2・中間処理
 タイムUPでシャンプー。アニオン系界面活性剤のタイプを使い、薬剤に配合されているカチオン性のコンディショナーに反応させて軽い皮膜形成させる。シャンプー後、アニオン性ヒートポリマーを塗布→カチオン性のセルロース塗布→ア
ニオン性のキトサン塗布。これでポリイオンコンプレックスによる皮膜形成させる。

3・ブロードライ
 ダメージ的にはハンドドライしてからツインブラシで整える方が良いのだが、新生部に対して本来使いたい薬剤よりも1段落としているので100%ウエットから一気にブローする。ただし、新生部分はテンションを掛けるが境目から先はブラシで持っているだけの感じ。
  ブロー終了です。アイロンをかけるベースができました。

4・アイロン
170度でワンスルー
  アイロン時間は35分程度。ブローで出来た状態に熱を置くだけです。

5・2剤処理&後処理
 ① 2剤は過酸化水素タイプ。塗布後、タイム3分。
 ② お流し後、ヘマチン3分。
 ③ お流し後、アニオン性ヒートポリマー塗布→カチオン性トリートメント塗布。チェンジングリンスして終了。

■アフター
 ドライのみの状態です。ビフォーに比べて根元に艶が出て、全体のボリュームが落ちました。カウンセリング時に最重要な一つが、根元が整うとその分、中間のビビリが目立ちます。これは事前に伝えておかないと今回の施術で出来たものではないか?ということになってしまいます。

アフターの画像をみてどう思いますか?
普通これではNGですが、ビフォーで説明した通りこれが限界でしょう。
   
  

■今後の施術
 この根元5,6cmがゼロスタートになります。しかしその5,6cmの根元部分は前回部分の危険個所を遠ざける為のクッション材のようなものです。この状態を作ることはこれから先の矯正をしていく上で大事な一歩です。
 このお客様は今回と同じ薬剤選定で3カ月後、状態によってはさらに3カ月後まで今度は弱い薬剤のままオーバーラップさせて整えていくのが安全だと思います。危険個所が完全に遠ざかってからようやく本格的な矯正に入ることができます。
 それから毎月のグレイカラーは低アルカリの薬剤で無闇にアンダーを削ってダメージを増幅させないように行います。矯正のカラーリングは常に矯正をしたときに色味やメラニンが壊されてトーンUPしてしまうことを前提にしたアンダーのコントロールが必要です。

 以上です。


第11回 平成24年7月15日                                ページトップへ
 
器具・処理剤
 今回はイーズが矯正で使用している主な器具や処理剤をご紹介します。
 薬剤もそうですが、器具や処理剤といってもそれらは膨大ですね。これが良い!これはダメ!ということは無いと思います。どれでも結果は出せると思いますが、やはり自分がストレスなく扱いやすい器具や理解している処理剤の方が仕事はしやすいですね。

■アイロン
 選ぶ基準で譲れないところは「プレートの滑り・プレートの合わさり」です。
これらの性能がイマイチだと操作性のストレスから仕上がりに影響したり、お客様もアイロンされていて不快だと思います。ご自分のアイロンをチェックしてみてください。

☆アドスト DS
 現在メインで使用しています。軽くて取り回しも良くプレートにはスリットが入っています。水蒸気が横に逃げますので頭皮に熱い蒸気が当たりにくいです。プレートの滑りや合わさりなどのバランスがとても良いので安心して使えます。

☆ハホニコ 
 細いタイプはメインで使用しています。プレートの滑りはやや不満がありますが、合わさりのバランスは良いです。持っているアイロンの中では熱の入りが一番しっかりいきます。

☆ファイテン
 幅広なのでロングなど掛ける距離が長いときに使用しています。プレス用のアイロンですがプレートの滑りと合わさりのバランスも良いのでスルーでも十分使えます。

☆サニープレイス
 スルーに特化した専用アイロンなのでプレスには不向きです。

☆メーカー不明11mmアイロン
 11mmと細いプレートなのでフェースラインの短い髪やメンズヘアで重宝します。

■リングコーム
 リングコームはそれこそなんでも良いようですが、大きさやバランスなどによって案外取り回し性能に違いが出るものです。

☆チェーリースムースコーム
 櫛の部分は普通くらいなのですが、テール部分が短くなっているので全長が短かく取り回しが良いので気にいっています。
■ツインブラシ
 デンマン製のツインブラシを使用しています。ノーマル状態では効果的に使えないのでチューニングしています。ノーマルでは上が5列、下が6列です。これを上下3列と上下4列の2タイプにカットします。
また、ブラシの毛の噛み合わせも柄の部分を曲げて先端から合わさるように調整します。

 これらのチューニングを行うとノーマルと比べて、根元からしっかりと髪を捉える事が出来るようになります。長い髪は勿論のこと4,5cmの短い髪もしっかり伸ばせます。

■ドライヤー
 ライト1400wを使用しています。アイロン前のブローでは30~60分程度のブロー時間になるのでライトドライヤーの軽さ(300g程度)は非常に楽です。

■エアフロー
 ドライヤーのノズルに装着することで風を分散させずに髪に当たるので効果的なブローが出来ます。

■ダッカールピン
 これはしっかり止まれば何でも良いのですが、少しチューニングしています。特にアイロン時にはアイロン・コーム・ダッカールの3つをすべて片手でもって作業するのでピンを操作しやすいように持ち手の部分を少し曲げて広げています。

■処理剤(イーズで使用の処理剤は単独使用だけではなく、コンプレックス処理で使用するものも含まれます)
①キトコートA
 カチオン化セルロースが髪に張り付きサラサラした質感になります。

②キトコートB
 キトサンから作られるキトアクアを主成分としています。アニオンのキトサンなのでカチオンの処理剤と併用することでコンプレックスを起こして髪に皮膜ができます。キトコートAとBがメインの中間処理になります。

③キトコートM
 ミルスタイルX―HPを主成分としています。220度までの高熱から髪を守ることができる耐熱材です。主に中間処理やアイロン前のブローで使います。熱処理をする施術には欠かせません。

④ペリリン 
 旭化成のペリセアを主成分とした処理剤です。1,2分の短時間でダメージホールに入り込み、疑似CMCとして毛髪内部の補修が期待できます。また、濃いめの希釈であれば外部にも皮膜を形成するので単品でも使いやすいです。主に前処理と中間処理で使用しています。

⑤ちぇケラ
 ヒートケラチンや高分子ケラチン主体の処理剤です。phはアルギニンによりアルカリに調整されているので薬剤の作用を阻害せずに効果的な毛髪強化が期待できます。主に前処理で使用しています。

⑥ヘマYO
  ヘマチン主体の処理剤です。主に後処理の使用で残留薬剤の除去やバッファー効果、リピジュアやキトサンによるキューティクル保護効果が期待できます。

⑦R2+(アールツープラス)
 毛髪強化に特化したすぐれもののPPTです。主に過度なダメージヘアやビビリ修正に使用していますが、万一還元が行き過ぎてしまった場合でも瞬時に毛髪を強化して過還元を一気に鎮めてくれます。但し、バッファー効果も高いので還元状態が少し怖いな?というくらいで使ってしまうと髪をしっかり引きしめてしまうので伸びが悪くなります。還元状態やアルカリ膨潤をよく見極めて使う必要があります。また、手をつけられないようなビビリなどのダメージヘアもアウトバストリートメントとして使うとかなりきれいに収まってくれます。

⑧Rst(アールエスティー)
 最強毛髪疎水剤です。低分子で強力なアニオン性を示し、各種カチオン系の処理剤を強烈に張り付けてしまいます。主にビビリや過還元によるハイダメージ後処理で使っていますが、前・中間処理でも効果的です。集中トリートメントのベース作りにも良いので重宝します。

⑨インフィル
 Rstと同じ使い方をしますが、インフィルのほうがやわらかく仕上がります。

⑩インナーCMC
 高分子ケラチン、セラミド、18MEAなどがダメージ状態に応じて効果的に作用するように作られている汎用処理剤です。前・中間の処理や仕上げ前のアウトバストリートメントなどで使っています。ちなみにイーズのアウトバストリートメント販売では人気No1です。

 処理剤の入手先は以下の通りです。
① ⑥・⑨⑩・・・http://www.re-spects.co.jp/
⑦http://www.nousfit.co.jp/index.html
⑧http://www2.wind.ne.jp/masabi/


第10回 平成24年3月11日                                    ページトップへ 
 
使用薬剤
今回はイーズで現在使用している矯正剤です。調合に関する事については自己責任で行ってください。

下記の薬剤以外にも必要に対応するために数種類の剤がありますが、メインで使っているものだけを紹介いたします。

☆ミルボン ノチュールH ph9.1 アルカリ度6 チオグリコール酸8.9%
アルカリに強そうなキューティクルの厚い髪のときに使います。還元スピードとアルカリ膨潤は早めで、弱い髪だとオーバーダメージしやすくなります。

☆リスペクツ グリシスHG ph9 アルカリ度3 チオグリコール酸8%
現在メインで使っています。アルカリはアンモニアでアルカリ度も低いので還元は割とゆっくり。アルカリによる膨潤が少ないので髪のクタリが少ないことと、それによる還元チェックのダマシがほぼないです。リッジの強い髪やアルカリに強い髪だと還元が不足する場合もありますが現状では仕上がり、安全面でもっともバランスが取れている薬剤だと思います。

☆リスペクツ グリシスH ph9.3 アルカリ度4.6 チオグリコール酸3% システアミン1.5% チオグリセリン1%
化粧品系の剤です。アルカリカラー毛でリッジと毛髪強度の低い場合に使っています。ただし、化粧品系とはいえ還元剤濃度の割にパワーはあるので極端にアルカリに弱そうな髪の場合は還元が行きすぎるので要注意。

☆リスペクツ グリシスS ph7.5 アルカリ度0.2 チオグリセリン2.5% システイン2% 亜硫酸塩 0.5%
化粧品系の剤です。メインの薬剤の減力用と毛先に使うことがほとんどです。熱炭化以外のビビリ直しなどでも重宝します。

☆リスペクツ グリシスSH ph3 還元剤無しのプロテクトクリーム
既矯正部の完全保護や薬剤の減力に使用します。

☆リスペクツ リボルバーTC ph9 アルカリ度3~4 チオ3% シスアミ1.5%
化粧品系でコールド用の剤です。主にクリームの剤の粘度調整やパワー調整に使います。

☆リスペクツ リボルバーAC ph5.5 チオ2.5% チオグリセリン0.5% グアニルシス0.4%
化粧品系でコールド用の剤です。リキッドなのでカチオン化セルロースで増粘して使います。グアニルシステインが弱った髪を強化してくれるので、既矯正部の質感調整や強度UPで使用します。ビビリ修正などではメインで使用しています。

☆チオ50 ph6 チオグリコール-酸50% 
工業用チオグリコール酸であり非常に危険な剤です。通常の薬剤の還元剤濃度では足りないような強い髪やクセの場合に、薬剤へミックスしてパワーを上げるために使います。ph9前後の薬剤でチオグリコール酸濃度を10~15%に調整します。ちなみに「酸性チオ」と呼ばれる矯正剤は雑貨登録のチオ50を「~ローション」と表記し、メインのph6程度の薬剤にそれらをミックスして剤を作ります。酸性矯正のチオグリコール酸濃度はマックスでチオ濃度25%程度になります。但しphが低いので割と安全に働かせることが出来るわけです。

■ミックスによるパワー調整(自己責任をお忘れなく)
EASEでは基本的にHパワーの薬剤に弱い剤をミックスしてパワー調整しています。商品のアイテム数が少なくできる上にパワーラインナップは多く作れるのでおすすめです。
商品名は省略して書いてあります。また、ミックス比率やアイテムは常に工夫をするべく変更していますのでご理解いただいたうえで参考にしてください。

SP100Ver1 グリHG+チオ50 10%
SP100Ver2 ノチH+グリHG(1:3)+チオ50 5%

H100 グリHG+TC5%
H90  グリHG+グリS(3:1)+TC5%
H80  グリHG+グリS(2:1)+TC5%
H70  グリHG+グリS(1:1)+TC5%
H60  グリHG+グリS(1:2)+TC5%
H50  グリHG+グリS(1:3)+TC5%

S100 グリH+TC5%
S90  グリH+グリS(3:1)+TC5%
S80  グリH+グリS(2:1)+TC5%
S70  グリH+グリS(1:1)+TC5%
S60  グリH+グリS(1:2)+TC5%
S50  グリH+グリS(1:3)+TC5%

プロテクション グリSH

それぞれのパワー表示50以下は今のところリボルバーACを使用しています。


第9回 平成24年2月26日                                    ページトップへ 
 
アイロンから仕上げ
 今回はアイロンから仕上げまでです。

 ブローでできているストレート形状にアイロンをかけていきます。毛流れ、立ち上がりに沿って、テンションはほぼノーテンションで髪に熱を置いてくる感じです。アイロン温度は170~180が基本ですが、ダメージや毛質などにより考慮してください。アイロン工程のバランスについては以下のかけ方の種類において、1スライスに対してスルー回数やプレスの速度などを変えていく感じで調整します。


■アイロン技法
 ☆スルー・・・リッジの強いクセやシスチン結合が強くクセに出ている髪質に向いています。アイロンは髪を挟み、滑らせるだけです。2回3回と滑らせる回数で2スルーとか3スルーと言っています。
 ☆プレス・・・リッジというよりボワボワ膨らむクセや水素結合が強くクセに出ている髪質に向いています。アイロンで髪を挟み1,2秒止めながら熱を置いていく感じです。プレスといってもテンションをかけてつぶすような方法ではありません。
 ☆スループレス・・・スルーとプレスの双方を使います。はじめにスルーで面を出して、そこをプレスしていきます。ただし、1スルー入っているので前出のプレスのように止めないプレスで行います。
 ☆ワンスルー・・・スルーとプレス双方の効果を1回のスルーで出していく方法です。アイロンは止めることなく、プレスともスルーとも言えないような感じでゆっくりと熱を置いていきます。

 この数種の技法とそれぞれの組み合わせによりどんなクセでも伸ばすことができますので、それぞれの感覚は掴んでおきましょう。アイロンは製品により、スルー向きやプレス向きといった相性もありますが、工夫をすればなんでも対応できます。但し、粗悪なものはプレート面などに問題があるものも多いので信頼できるメーカーのものを選ぶとよいでしょう。

■プロセス10 アイロン
 基本的に縦ブロックをとります。縦のブロックは一見すると比合理的に思えますが、毛流れや頭のアールに対しての処理を考えると案外合理的です。頭の大きさや髪の長さ、毛量によりますが6~7ブロック程度が基本になります。メンズなどショートヘアの場合はさらにブロックを増やしていく場合もあります。

   
 基本的なブロック幅は一番広いあたりでプレートの長さの「10等分の8」位のイメージを目安にします。両サイドのブロックはフェースラインや毛流れに合わせる為にスライスを斜めや横で掛けていきますので幅は広めでOKです。スライス幅は5mm~9mm程度のイメージで還元具合、部位、毛量、クセ、長さなどを考慮して判断しましょう。掛けていくブロックの順番は特にありませんのでやりやすいところから始めてください。説明は右手アイロンのワンスルーになります。
 アイロンとリングコームとダッカールピンは画像のようにすべて同時に持ち、スライスの処理もアイロン操作も行っています。
  

① ダッカールでブロックをします。この時、ブロックによるクセがしっかり付いてしまうようなときは水分が残りすぎです。
 
② リングコームのテールでスライスを取ります。コームは左手に持ち替えて、アイロンに入っていく髪を整える役目で左手に添えます。左手は毛流や立ち上がりに沿いつつ、ストレート状態を維持できるテンションで持ちます。左手の操作は意外に大事です。※画像はトップの位置になっていますが、下から掛けていきます。
 
③ 地肌に開いたアイロンを置きます。下のプレートにスライスのパネルをのせて、それを押さえるようにアイロンを閉じます。左手はテンションを維持したままです。
  
④ 一呼吸置いてゆっくりアイロンを滑らせます。左手はテンションを維持したままアイロンとできるだけ近づけて、連動してずらしていきます。1,2秒プレスしている感覚ですがアイロンは止めません。カリカリとした嫌な感触がある場合は、左手をアイロンに密着させるようにすればキレイに滑ります。
 

⑤ 毛先がアイロンに入ったらアイロンを開いて抜きます。閉じたままで抜ききると髪がつりますのでお客様が痛いのと、引っ張られることでビビリになることもありますので注意しましょう。還元部位によっては毛先まではかけないでアイロンを抜くこともあります。
⑥ 次のスライスを取り、順次同じ要領ですべてのブロックをアイロンします。耳まわりやフェースラインは生え際の形を意識してスライスを調整してください。

☆アイロンの仕上がり
  
 要領としてはこんな感じです。生え際や毛先など適正なパネルの厚みが出せない部分は熱と程よいテンションがかかりづらい場合があります。毛先であれば、数スライスをまとめて掛けるようにしたり、布を巻いたアイロンに持ちかえたりするとよいでしょう。生え際の少ない毛量はスライスを単に厚くすると髪が折れやすいので、1つ前にかけたスライスを半分くらい入れて厚みを出せば安定します。

■プロセス11 2剤処理
 ほとんどは過酸化水素の2剤を使用します。ビビリ直しなどに関してはブロムの2剤を使用する場合もあります。
2剤処理は形を作る効果は無いので素早くしっかりつけることに集中しましょう。コーミングなどは特にする必要はありません。放置時間は塗布後、3分~5分です。

■プロセス12 後処理 
 後処理は酸リンスやヘマチンでのバッファーやアフタートリートメントを行います。

■プロセス13 アフターカット
 ミディアムやロングであればほとんどはプレカットで済んでいるので、調整で毛先カットや削ぎをする程度になります。バングを作っているデザインはバングだけアフターでカットするケースがほとんどです。
 プレでカットしてしまうと矯正がやりにくいショートヘアはすべてアフターでカットします。
■プロセス14 仕上げ
 仕上げ方はお客様が家でできる程度のことを基本としましょう。また、ケアのアドバイスやスタイリングのアドバイスもここでお伝えしましょう。
必要なアウトバストリートメントなどを行い、毛流れに逆らわずにしっかりドライします。お客様にドライだけでの伸びの状態を見てもらう前にブローはしないでください。ドライだけでどこまで仕上がっているか?ということは大事です。

☆ドライでの仕上がり
   
 ドライが終えたら、この時点でお客様に矯正の仕上がり具合を見ていただきます。ここでの最重要なことは、もみ上げやフェースライン、おくれ毛、新生毛の短い毛、ハイダメージ部分などカウンセリングの時点でクセの伸びよりもダメージ優先でまとまる程度を目指したところを良く見て、状態をすべて認識していただくことです。そしてそれでOKであることをしっかりと伝えてください。これをしっかりやらないとわざと伸びを甘くしている部分であるにもかかわらず、お客様がそれを認識しないまま家で見ると「これでいいのかしら?」となってしまい、クレームになる可能性があります。
アフターカウンセリングとしての確認後、軽くブローして整えて終了です。

メンズのショートヘアなどは矯正の持ちが悪くなるカットをわざわざします。スタイリングも重要ですのでそのあたりは十分なアフターカウンセリングが必要です。

きちんと仕上がっているパターンでのクレームは99%アフターカウンセリングの失敗です。

★さて、9回にわたりお伝えしてきた「縮毛矯正」の基本的な施術は以上です。これらはこの講座の為に作られたレクチャーではなく、私のサロンで実際に行いお客様のお役にたっていることです。いかがだったでしょうか?皆様のサロンワークにも参考になれば幸いです。もし、自店の縮毛矯正に問題を感じている結果があるとしたらそれを改善する策がこの講座の中にたぶんあると思います。
 あと、良くある話で「どこの薬剤が良いですか?」ということを耳にしますが、残念ながら良い薬剤というものはありません。すべては使い手!伸ばす技術をありきです。勿論薬剤を選ぶのも技術です。
 文面では限界がありますが、基本の考え方やプロセスをお話させていただきました。実際には現場合わせで様々な観点で工夫が必要です。それらは経験と知識と最後は「勘」です(笑)また、施術内容も良い考えと結果によってはどんどん変えています。常に現在進行形でゴールはありませんね。

 次回はイーズで現在使用している薬剤や処理剤をご紹介します。その後は不定期になると思いますが、ケーススタディーで実際の施術を公開しようと思っています。

 質問コーナーも出来ましたので、どんな小さなことでも気軽にご質問ください。それにより、私も勉強になります。どうぞよろしくお願いいたします。


第8回 平成24年2月19日                                    ページトップへ 
 
ドライ~ブロー
 主にツインブラシを使用して、アイロンをかけるためのベース状態を作ります。

■ブローの利点
☆還元作用を低めにしてもブローを入れることでクセを伸ばしやすい。
☆ブローによりストレート形状を作るので、アイロンでクセを引っ張ってストレート形成する必要がありません。よって、高温で過度なテンションのスルーやプレスを避けることが出来るのでダメージを最低限にできます。
☆ブローで髪の立ち上がりができているため、根元や生え際などの細かい部分に根元からアイロンをしっかり入れやすい。
☆高温アイロンにより抜ける水分を残し、完全ドライになるため余計な水分蒸発による地肌の熱さや火傷を防げる。また、毛髪内部の水蒸気爆発状態も防げるので過度な熱変性を防ぐことができます。
☆自毛に近い根元の立ち上がりや収まりとキレイな伸びとキレイな質感に仕上がりやすいです。

■プロセス9 ドライ&ブロー
ブローは還元状態やクセの強さなどでいくつかのアプローチがありますが大きく分けて次の3つです。
☆ウエットツイン・・・100%ウエットの状態からブローします。ウエットの状態は還元で切断されているシスチン結合を一番ずらしやすい状態です。そのウエット状態でツインブラシによりストレート形状を保ちながらドライしてしまう方法です。どんなクセでも一番伸びが良いです。適正還元に満たない弱い還元の場合はクセが強くてもウエットツインで伸びが良くなります。
☆ハーフツイン・・・還元部位が根元数センチ程度など、プロテクション処理部分が多い場合には中間毛先をある程度ドライし、還元剤を入れた部分はウエットからブローします。
☆フルドライツイン・・・8割程度ドライしてからブローします。弱いクセなどはこれで十分伸びます。このパターンは、基本ツインブラシですが、デンマンブラシでのブローがメインになることもあります。

ではブローの要領です。どこからはじめてもOKですが、ある程度のブロックを意識して行いましょう。ウエットツインの場合は、未ブローの部分が乾いてきたら水スプレーで適宜水分補給しながらすすめてください。ハーフツインやフルドライツインはドライ工程で乾いてくるにつれてクセが出てくるのが普通のことなので大丈夫です。
要領はウエットツインとして説明します。すべての操作は適正なテンションをかける程度でお客様の頭をグイグイと引っ張ってしまうようだとテンションは掛かりすぎです。ウイッグであれば、クランプ無しで倒さないくらいです。不要なテンションは不快であるとともにコルテックスの状態をバラバラにしすぎたり、キューティクルのリフトが過度になったりして仕上がりの質感低下をまねきます。

① クセや毛量、毛流を考慮し、適したパネルを取り出します。
 
② 毛流れと立ち上がり(基本はオンベース)に沿ってツインブラシでブロー方向にシェープします。
 
③ ブローする方向が決まったら、ツインブラシでストレート形状を保ったままドライヤーを入れていきます。
 
④ ドライヤーとブラシは一定のスピードで毛先までブローします。オンベースのまま毛先まで行く必要はありません。
 
⑤ 完全ドライとストレート形状ができるまで同じスライスを何度か繰り返します。
 
⑥ 全体にツインブラシが終わったらデンマンで軽く整えて終了です。

☆ブローでの仕上がり
  
この画像は薬剤選定の説明で使用した画像のお客様です。クセの強弱などによってブローの仕上がり程度は様々ですが、このケースであればこのくらいまで伸ばせてあればOKです。

ハーフツイン、ドライツインも要領はほぼ同じです。デンマンブローメインのときはアウトサイドブローで根起こしと同時にそのまま毛先まで伸ばし、全体を軽くツインブラシで整える感じです。

以上がドライ&ブローです。毛量や長さにもよりますが、ウエットツインで40~50分程度が目安です。


第7回 平成24年2月12日                                    ページトップへ 
 今回は、還元チェックと中間水洗&中間処理です。

リングコームに巻きつけてみたり、ループを作ったり、引っ張りなどの方法でどのくらい軟化しているか?など、様々なチェック方法があるようです。どんな方法にせよここでは「軟化」ではなく「還元」を見 ることが重要です。軟化チェックを意識してしまうとオーバーダメージや還元不足の原因になります。勿論還元と軟化は相まっているのも事実ですが、軟化=アルカリ膨潤がメインと捉える事もできるので不要な軟化は極力抑えることが大事です。軟化と還元はイコールではないことを意識しましょう。

★還元チェック方法
水素結合とシスチン結合どちらのクセが強く出ていた髪質であるかは確認済みですね。それからウエットの手触りやリッジ感、薬剤塗布後の状態を思い出してください。

まず、タイムUPしたらカウントUPのタイムを入れます。クセの強かった部分を5mm角程度の毛束で取りだします。
① まっすぐに出来る程度の軽いテンションで落ちる方向に引っ張ります。
② 毛束を離して落ちる方向に置きます。
③ 薬剤塗布前のクセと比べてほとんど伸びて戻らないようであればOKです。なんとなく甘く感じても「還元・ブロー・アイロン」のバランスでも話した通り、還元のバランス的に後のブローとアイロンで十分伸ばせると思えばOKです。(シスチン結合で出ていたクセの状態を見る)
④ 指先で毛先方向に軽く何度か滑らせます。薬剤処理前や薬剤塗布後のざらつきなどの感触が無くなり、ツルっとした触感であればOKです。(水素結合で出ていたクセの状態を見る)

チェックはこんな感じです。時間をかけていると還元が進み、その分余計なダメージになるのでスピーディーにチェックしましょう。ちなみにEASEではチェックする場合は30秒程度で判断をします。

■プロセス8 中間水洗&中間処理

 中間水洗では水洗ムラを防ぐため、シャンプーをします。1剤処理後のシャンプーは賛否の分かれるところですが、髪に残る薬剤成分を落としてしまうのはシャンプーが適していると思います。
☆シャンプー
① 循環式タイプ以外はすぐにお流しに入れるよう椅子を倒す前に、適温のシャワーにしておきます。
② まずはネープからリンシングします。薬剤が付いたままピローの間に髪が挟まれると折れの原因になることがあるので早くネープから薬剤を除去しましょう。全体を良くリンシングして薬剤を十分流します。ハイダメージなどで絡まりやすい場合はシャワーの水圧だけで簡単にモズクのようになることもあるので毛先に直接シャワーをかけないように気をつけてください。また、そのような髪はリンシングで流されて、薄まった還元剤でも影響を受けることもあります。そのような心配のある髪は毛先を持ち上げたまま水圧で根元の薬剤を流してから濯ぐようにしましょう。
③ シャンプー剤は毛先までたっぷりつけます。ここでのシャンプーは髪を洗うことが目的です。また、還元によって髪が弱っている状態ですのでゴシゴシではなく地肌は撫でる感じにして毛先まで良く指を通すようにやさしくシャンプーしましょう。
④ シャンプーを流し終えたら薬剤塗布前のウエット時と同様にトリートメントでチェンジングリンスしておきます。

☆中間処理
還元処理で髪は弱い状態です。ブローやアイロンの摩擦や熱から髪を守るために皮膜処理をします。
コンプレック処理がおすすめですが、油分が多すぎるものはブローやアイロンの操作性がストレスになり、仕上がりもやけに重い感じになりがちなので選ぶ際には考慮するとよいでしょう。

以上です。伸びには直接関係ないシャンプーでさえ最善を考えることが大事ですね!すべてのプロセスは、次のプロセスの準備です!一つ一つを丁寧に行いましょう。


第6回 平成24年2月5日                                    ページトップへ 
 今回は、ブロッキングと薬剤塗布です。
薬剤塗布は基本的にウエットヘアの状態で行います。理由は薬剤塗布を行いやすく、髪に薬剤が馴染みやすいからです。(注:スピエラの場合はドライ塗布です。)薬剤選定のときもお話しましたが、その選定は塗布時間も含めた設定ですのでそれも意識した薬剤塗布を忘れないでください。

■プロセス5 ブロッキング
 塗布する位置をブロッキングによりしっかり整理しておくことは正確な薬剤塗布のために有効かつ、塗布時間を最小限に出来ます。ブロッキングは何種類かあります。カラーリングなどにも使えますので覚えておくと便利です。フルブロッキングで5分以内を目安にします。

☆6ブロック・・・フロント、両サイド、クラウン、両バック
  
 塗布は1スライスずつダッカールで留めながら行います。塗布時間がかかりますがスライスの処理がしにくい腰まであるようなロングやピンで留めにくいショートで使うことが多いです。
☆ハーフブロック1
 
 6ブロックのバック側をすべての塗布スライス毎にダッカールで留めておき、それを1スライス毎に外して薬剤を塗布します。サイドに入ったらバック同様にスライスをすべて留めて塗布するか、1スライスずつ塗布します。今はこのパターンで塗布することが多いです。フルブロックの煩わしさを解消した方法です。
☆ハーフブロック2
 
 6ブロックのサイド側をすべての塗布スライス毎にダッカールで留めておき、1スライス毎に外して薬剤を塗布します。バック側は1スライスずつダッカールで留めながら塗布します。これはバックの髪がサイドに比べて強すぎる場合にあえて1スライスずつ取りながらゆっくり目に塗布し、バック側に塗布時間中の作用を長くすることを狙っています。サイドに入るとスライスは取ってあるのでそこからは早く塗布出来ます。
☆フルブロック
  
 6ブロックのすべてを塗布スライス毎にブロッキングします。頭はダッカールピンだらけになります(笑)毛髪強度が低い場合など、とにかく全体をフルスピードで塗布していきたい場合に使います。

■プロセス6 薬剤塗布
 塗布前にもう一度ウエット状態での髪を触っておいて感触を覚えておきます。後のチェック時に還元具合を見るために有効です。それでは薬剤選定で決めた薬剤を塗布していきます。塗布はリングコームで行い、塗布タイムは20分以内を目安にします。
■コームの利点です。
☆刷毛に比べて薬剤の塗布量が調整しやすい。
☆根元からの塗布位置を安定させやすく、地肌に溜まったりしにくい。
☆薬剤のつなぎ目などもキレイに塗布出来ます。
☆フェースラインなどの複雑な部分もキレイに塗布出来ます。
   
コーム塗布は慣れないと難しいですが、使いこなせばかなり有効ですので練習してみてください。

■塗布のポイントをお話します。
☆基本的に根元の薬剤から塗布していきます。特に根元は薬剤による折れや変なクセが付きやすいので気をつけてください。
☆クセの具合により、地肌から5mm~1cm程度空けて塗布します。
☆毛流れや髪が落ちる位置に極力逆らわないように塗布方向に気をつけてください。
☆首筋や耳まわり、フェースライン、前髪の1線目は塗布したパネルの下側にネックペーパーなどを張り付けて顔や首に薬剤が付かないように保護します。

■塗布の要領です。
塗布中に水分が足りなくなった部分は適宜水スプレーで軽くウエットにしながら塗布をすすめてください。塗布直前の水スプレーは一時的に薬剤の減力に働きますので強度の弱い部分や既矯正部分の境目などは水分が少ない場合には直前にスプレーしておきましょう。
① ネープからスタートにします。この部分は薬剤の作用時間が最も長くなるので特に一線目はメインの薬剤よりも一段パワーを落として入れることもあります。
② 次にバックです。クセの強い側から塗布します。トップに近づくにつれて毛流れが強くなるので毛流れに合わせて塗布することを忘れないようにしましょう。
③ 次にクラウン部分です。ここは髪の表面になるので内側よりも髪の強度が落ちているケースがあります。やはりメインの薬剤よりも一段落とした薬剤を入れることが多くなります。
④ 次にサイド~トップに移ります。クセの強い側から塗布します。サイドはフェースラインを含むので弱そうな場合は部分的に弱い薬剤を入れてからメインの薬剤を塗布していくと薬剤+薬剤での減力が出来ます。ハチまわりからトップまではメインの薬剤でいくことが多いです。トップの最後一線目は表面の髪になりますのでメインより一段落とした薬剤で行くことが多くなります。またハチまわりからは毛流れが強く前に向いてきますので根元が毛流れに沿うように塗布してください。※両サイドを塗布してからトップに行く場合もあります。
⑤ 最後はフロントです。額はラップやペーパーなどで保護しておきます。一線目はおくれ毛も多いのでフェースラインと同様の減力処理をしましょう。二線目以降はメインでOKですが、表面になる部分は一段低い薬剤を入れることが多いです。
⑥ 塗布を終了したらすぐにタイマーを入れてください。その際にバックの適当な部分の毛束を少し取り出して状態を確認しておきます。タイムUPでのチェックの際にそこからの変化を見るためです。
⑦ タイマーを入れたら乾燥を防ぐために全体に軽く水スプレーをして、ラップやタオルでくるみます。

塗布が終了した状態です。
   

■プロセス7 放置タイム
 薬剤塗布後の要領とかぶりますが、塗布後は初めのほうに塗布したバックの髪をチェックします。感触を良く覚えておきます。
 放置タイムは基本的にすることはありませんが、ハイダメージの場合は思わぬ還元が進む可能性もありますので注意して見ておく必要があります。お客様への注意点としては首を大きく動かしたりしないようにお願いしておきます。これは薬剤によるクセが付くのを防止するためです。ドリンクサービスはストローが便利です。

 以上です。塗布練習はカラー剤の塗布練習用クリームなどを使い、十分に塗布練習しましょう。


第5回 平成24年1月29日                                   ページトップへ 
 プレシャンプー&カット

今回はプレシャンプー~カットです。カットの有無もありますのでプロセス番号は逆になっています。

■プロセス4 カット
カットをする場合はドライカットまで行いますので、前回お伝えした「薬剤選定」はカット後に行うとよいでしょう。

仕上がりの長さによってはすべてアフターで切る場合もありますが、矯正がやりにくくなる事が無ければ出来るだけプレでカットします。長さやスタイルによってケースバイ
ケースで行うことなので説明は割愛させていただきますが、削ぎについてだけは注意点があります。

 削ぎはほとんどのケースで必要になるのですが、特にインナーの削ぎに注意が必要です。まず、セニングシザーによるインナーの削ぎは矯正との相性があまり良くありません。理屈ではなく、収まりがイマイチになりやすいのです。またせっかく矯正したのにボワボワとした感じになることもあります。基本的にはピッチ(削ぎの間隔)の細かいスライドカットやポインティングカットが有効です。セニングシザーは毛先をほんの少しぼかすとか、前髪の切り口くらいに使う程度です。

 カット全般に言えることは「縮毛矯正」を行うことを前提にしてください。矯正によりボリュームが落ちることを考慮したカットにしましょう。インナーの削ぎやベースカットのレイヤーもやりすぎればペッタンコでスカスカな仕上がりになってしまいます。

 毛量が多い方は、ほとんどのケースで「出来るだけ軽く」というオーダーになります。その場合は、インナーの削ぎだけでは髪が荒れるだけなのでベースカットでぎりぎりまでレイヤーを入れて髪の重なりを減らした状態でインナーの削ぎを入れたほうが良いと思います。それでも、多めのレイヤーや削ぎはどうしても毛先のパサつき感などが出やすくなり、表面にパラつく髪が出たりします。これらは仕上げのオイルなどで収められますが、収まりが荒れやすい状態になることは事前にお客様に理解していただきましょう。それでも多毛な方は軽いほうが良いみたいなので大丈夫なようです。但し、非常に強いクセの場合は、インナーの削ぎで長短が付きすぎると短い髪のほうが伸ばしにくくなるのでメインのインナーはアフターでカットするほうが良いと思います。あとは経験により自分がやりやすい状態というものをつかんでくださいね。

■プロセス3 プレシャンプー&トリートメント

 シャンプーは軽く行い、髪の汚れが落ちればそれでOKです。トリートメントは普通に行って、軽くリンシングもしくはチェンジングリンスします。これは髪のきしみを無くし、後のブロッキングや薬剤塗布などでコーミングの操作性を上げるとともに、お客様も引っ張られたり絡んだりするストレスを感じにくい状態にしておくことが目的です。毛髪を薬剤から保護するなどの意味合いはありません。

以上です。カットは矯正のまとまりを良くするためには大切な要素です。カットが矯正を台無しにしているケースもかなり見受けられます。しっかりとしたベースカットと削ぎを考えてみてくださいね。


第4回 平成24年1月22日                                   ページトップへ 
今回は薬剤選定です。
この講座の2回目でお話した各プロセスによって縮毛矯正は成り立ちますが、3大要素は「薬剤による還元・ブロー・アイロン」です。これらをバランスよく考えて施術することが大切になります。ほとんどのケースではこの3つで100%を目指します。還元で50%・ブロー20%・アイロン30%という感じで毛髪強度や矯正サイクルによって、それぞれのバランスをどうするか?考えるということです。
 その割合の決め手はこの薬剤選定とタイム設定による還元度合になります。当然ながら、塗布タイムも考慮します。

毛髪強度が弱い髪には還元を弱く(比率を低く)してブローやアイロンの比率を高くする。強度が強く、矯正サイクルが短い場合も同様です。強度が強く、適正な矯正サイクルであればサイクルの短い場合よりは比率を高めにしないと伸びにくくなります。このような観点でそのお客様を毎回、安全かつキレイに仕上げるためのバランスを考えるのです。
 「還元=髪の破壊」ですから闇雲に還元比率を上げるのではなく、その髪やサイクルに合う、適正な還元を見つける必要がありますね。

矯正を成立させる還元のストライクゾーンは髪質により様々だと思いますが、その上限まで還元すれば次回のオーバーラップではビビリなどのハイダメージになりかねません。「適正な還元=矯正を成立させる最低限の還元」を目指す必要があるのです。

EASEでは新規のお客様の薬剤選定やタイム設定は伸びるであろう選定より「若干弱め」から入ります。何故なら髪を必要以上に壊したら次は何も出来ないからです。伸びが甘いという失敗になる場合もありますが、過度なダメージを出すよりも伸びないほうが断然マシなわけです。このような事はお客様にも事前に十分お話して理解していただく必要がありますね。
 この薬剤選定による還元が無ければブローもアイロンも意味がありませんので慎重かつ的確な還元を狙いましょう。

■適正還元の見つけ方
EASEの還元タイムは基本的に20~25分設定です。そのタイムで適正還元になるように薬剤選定をします。

☆最初は弱めの薬剤選定やタイム設定で還元作用をさせます。タイムUPですぐにタイマーをカウントUPにします。そして還元チェックです。OKであれば次のプロセスに行きますが、NGであればそのまま5分~10分置きます。まめにチェックし、余程のNGでない限り追加タイム以内でお流しします。その後のブローで大体の還元具合が分かります。もし「甘いな?」と感じたらこの時点で適正還元を得られていないと考えられますのでブローの伸び具合などは良く覚えておきます。1回目の施術の中ではあまりやりたくないのですが、このケースではアイロンの比率を上げてフォローしておきます。
ちなみに追加タイムで完全にNGの場合は薬剤選定自体が間違えということで、お流しして薬剤の再塗布となります。

☆仕上がりをチェックします。十分伸びていればOKです。但し、還元比率が高い場合もありますので次回は薬剤のパワーを落とす事も検討します。逆にストレート感が鈍かったり、リッジが残ったりした場合は薬剤のパワーを上げるか、タイムを長くします。

☆2回目では前回の薬剤選定を参考にして施術します。選定変更の場合はほとんどが前回にブローやアイロンの比率を上げてフォローしたり、伸びが鈍かったり、リッジが残ったりなど、還元が甘かったケースになりますのでパワーを上げた選定になります。

☆2回目にほとんどのケースで適正な還元が出来るはずですが、それでも仕上がりが甘いのであれば2つの選択肢になります。一つはさらに還元パワーを上げる。もう1つはブローとアイロンの比率を上げる。ということです。
前者はより髪を壊すことなので、毛髪強度的にどうなのか?を考えます。十分耐えられる髪だと判断できるのであれば還元度合を上げます。後者は還元をさらに上げることに耐えられそうもない髪の場合です。

このようにしながら適正還元を見つけていきます。とにかく縮毛矯正は「還元・ブロー・アイロン」のバランスであり、どれかに落ち度があれば仕上がりに影響します。その第一段階が「還元」ですのでまずは薬剤選定のみを変更しながらブローやアイロンは一定の事を行い、どうしても還元だけで補えない場合にブローやアイロンに着目してください。このような施術方法で経験を重ねていくと施術のバランスは自分なりに取れるようになってきます。はじめから色々といじりすぎると、何がどうなって結果が出ているのかわからなくなりますので一つ一つまとめていけるようにしましょう!
 
■プロセス2 薬剤選定

 基本的に毛髪は根元から毛先に向かって強度が落ちていますね。その状態に合わせた薬剤選定を行う必要があります。毛髪診断で得られた情報から適しているであろう薬剤を見極めていきましょう。次の手順で行うことにより根元から毛先に向かって薬剤のパワーを落としていく選定がやりやすいです。

① ドライ状態で毛髪強度とクセの強い部分の根元から毛先を確認します。

② 根元の薬剤とタイムを決めていきます。根元からどの位置までがここでの選定で必要かを良く考えます。

③ 根元が決まったら、次は毛先を見ます。根元は適正還元できるタイムを設定していますのでそのタイムを置いても大丈夫な薬剤を選定します。既矯正部はクセの戻りなど問題がなければ、プロテクトクリームで完全保護になります。

④ 毛先が決まったら、中間の薬剤を決めていきます。根元と毛先の中間をつなぐように、根元よりパワーの低い薬剤選定になるケースが多いです。

⑤ 一番強いところが決まったら、サイドやクラウン、トップ、前髪などを決めます。大体は④までで選定した薬剤より1レベル低いパワーの薬剤選定になります。
⑥ フェースラインなど、毛髪強度が特に弱い部分はさらに低いパワーを選びます。

薬剤選定の流れはこのような感じです。選定のためには薬剤の勉強も大事になりますが、感覚というものも大事です。薬剤も様々なものが出ていますので、まずはサロンにあるものを使ってみて薬剤の働きを感覚でとらえるとよいでしょう。また、薬剤のパワーの強弱は次の要領で調整してみましょう。

■薬剤の調整の例
H・N・Sみたいに3段階程度パワーのアイテムがあればパワー表示を数値化して最大100から90,80,70・・・・と作ることが出来ます。

例えば、H単品100・H+N(1:1)90・N単品80・H+S(1:1)70・H+S(1:2)60・S単品50・S+トリートメント(2:1)40・S+トリートメント(1:1)30・S+トリートメント(1:2)20・S+トリートメント(1:3)10・トリートメント単品0(プロテクト用)という感じです。数字でパワーを表しておくとわかりやすくなります。

あとは自分で考えながら還元度合の感覚を身につけましょう。様々な薬剤がありますが、色々手を出すよりもまずは一つのアイテムを十分に使い倒していくのが良いと思います。そうすればその薬剤で足りない部分が見えてきます。そこで初めてたりないところを補える薬剤を探せばよいのです。

以上が薬剤選定です。一つ間違えば全体がビリビリの悲惨な状態を作り出すような恐ろしいプロセスです。不安ならば「伸びないほうが断然マシ」ということを思い出して弱め弱めにしてください。伸びないで返金、失客しても伸びてないのであれば直せます。あなたの判断でお客様の髪が決まるのです。


第3回 平成24年1月13日                                   ページトップへ 
今回から各プロセスの細かい説明をしていきます。
EASEが数々の失敗から学び、努力と勉強、体験で得てきた大事な宝物です。単なる情報として捉えないでほしいと願っています。
皆様が現在行っている縮毛矯正にこの講座の内容を少しでも取り入れていただければ仕上がりに違いが出てくると思います。

説明の前にEASEとしての縮毛矯正の考え方をお話ししておきますね。結構重要ですよ!
「自分が売る縮毛矯正とはどのようなものか!」という事は大事です。それがブレると失敗が多くなり、看板メニューには出来ません。その施術を納得して買ってくれる人だけがお客様になれば良いのです!読めない曖昧な結果の施術はサロンの信頼を失うだけです。以下のことはお客様にも十分説明し理解していただきましょう。また技術者はアドバイスとしてしっかり言い切れるようにしましょう。

☆縮毛矯正はクセ毛をストレート状に矯正することである。それにより艶や手触りは施術前よりも良くなると感じるが、実際はダメージしている意識を持つこと。また、素材以上の艶や手触り感はすべてケアにより作るものであり、縮毛矯正で作るものではありません。あくまでクセ毛という素材をストレートに変えるだけということを忘れないようにしましょう。

☆フェースラインなど生え際のおくれ毛などは非常に髪が弱く、長さが伸びるのも遅い。また、完全なおくれ毛は1年以内の毛髪サイクルであることが多い。このようなことからその部分をしっかりストレートにしようとするとビビリなどのハイダメージになりやすいため、ストレート感は鈍くてもまとまる程度に仕上げる。関連して、毛髪サイクルによる新生毛もある程度の長さにならないと掛かりが甘くなりがちなので気にしてはいけない。

☆縮毛矯正はパーマの1種であり、当然ながら経年変化によりストレート感は若干緩み、質感も低下する。ストレート感の緩みはそれを生かして毛先の自然さになり、質感の低下はケアでフォローするほうが良いです。よって、縮毛矯正を施術した部分への再度の薬剤塗布は基本的に行わずにトリートメントクリームで完全保護にする。これにより過度なダメージを回避することが出来るため、最大限に状態のよい毛先を維持していける。また、ビビリなどの事故を防止しやすいのです。

☆毛流や起伏角度に合わせた仕上がりを目指します。よって、流す方向、分け目、つむじや前髪の割れなど毛流の補正などは一切行いません。補正のつもりでもそこは折れ目となってしまうのですぐに変なボリュームが出てしまいます。

こんな観点を頭に入れて読み進めてください。

■プロセス1 カウンセリング&毛髪診断

★カウンセリング
お客様個々のクセの具合、毛髪強度や将来的希望などを考慮して十分なお話が必要です。
技術者側として特に重視するのは縮毛矯正のサイクルです。同じ様なクセの方でも3カ月サイクルの方もいれば6カ月サイクルの方もいます。それにより施術の狙いを変えなくてはならないケースもあります。EASEはお客様毎に適性サイクルを提案しています。傷むから単にサイクルを空けるという考え方は技術力の無さの言い訳です。
縮毛矯正以外にもストパーやパーマなどケミカル処理の履歴は徹底して聞きます。はじめに書いた「矯正の考え方」もお話しながら、仕上がりの状態を施術前に十分理解していただきましょう。

★毛髪診断
ドライ時とウエット時で良く見ておきましょう。ご来店の際は出来るだけドライだけの状態で来ていただくのが理想です。お仕事帰りなどでブローやアイロンをされている場合はシャンプードライして状態を見ましょう。

① 毛質・・・クセ、軟毛、硬毛、細毛、太毛、撥水毛、吸水毛などを見ておきます。

クセの強弱は相対的にみてバックからクラウン下・ハチまわり・耳後ろ・左右ではつむじの流れの起点側が強くなる傾向があります。また、強弱を見誤りやすいのが毛流れによって生まれてくるクセです。これは毛髪のねじれやリッジは緩いのに毛流れが強いために重力で自然に落ちると髪がS字にうねり、強く見えるパターンです。

毛髪強度はフェースラインやもみ上げなどは当然ですが、大まかに弱い部分はサイド・クラウン・トップ・前髪の外側。強い部分はネープ~バック・ハチまわり。このあたりを意識して見ると良いでしょう。

クセの出方はドライ時とウエット時に良く見ます。ドライよりウエットで強くクセが出る場合はシスチン結合によるクセが強く、ウエットでクセが消える場合は水素結合によるクセが強いです。パラコルテックスとオルトコルテックスによる違いですね。薬剤選定や1剤後の還元チェックに必要な情報になりますので神経を研ぎ澄ませて感じてください。

② 既矯正部の有無・・・前回矯正がどの程度前のものか?問診も含めて履歴を確認します。またその既矯正部にクセの戻り、ビビリ、などトラブルはないか?良く確認します。そしてどの位置まで還元が必要かしっかり認識しておきましょう。
梅雨時期や夏になると湿気でボワボワするようなクセの方は定期的でなく気が向いたら矯正する傾向があります。このようなケースはお客様の記憶も曖昧なことも多く、既矯正部の境目も見わけが付きにくいのでわずかな変化も見落とさずにしましょう。ストレートパーマの履歴も同様に見わけが付きにくいので慎重に診断してください。
③ 既カラー部・・・・カラー毛の場合、白髪染めなどすべてにおいて「アルカリカラー」の履歴の確認をする。アルカリカラーによるダメージ毛とノンカラー毛では還元剤の作用が大きく変わってきますのでかなりの注意が必要です。
ホームカラーに関しては塗りムラによるダメージ差や不必要な毛先へのカラーダメージなどで危険度は数倍になりますのでカラーダメージを均一にしてからの施術が無難です。ちなみにEASEではアルカリカラーでのホームカラーは禁止としています。

④ ②の関連で前回のカラーリングが矯正のサイクルに適しているか?判断します。矯正の薬剤はパワーコントロール出来ますが、アルカリカラー剤のパワーコントロールはほとんど出来ませんので矯正を優先したカラーを考えなくてはなりません。

EASEでは既存のお客様であればカラーと矯正のサイクルを良い条件にしておけますが、新規の場合は予約を受ける際に前回カラーが2カ月以上前の場合は先にカラーをします。

⑤ パーマ・・・毛先までクセがある場合はウエーブパーマの有無も確認しましょう。クセに見えてパーマの事が意外にあります。お客様は1年前などにやったパーマは「掛けていない」と表現します。パーマが残っていようがいまいがパーマ履歴のある髪かどうか?を確認しましょう。

 以上がカウンセリングと毛髪診断です。担当する技術者が対象毛をみて判断しなければならないことはこれに留まりませんので、ケースバイケースで考えましょう。

第2回 平成24年1月9日
                                      ページトップへ
【EASE hair direct 縮毛矯正のプロセス】
前回は縮毛矯正を看板メニューとしていることの意味合いをお話しました。
それならすぐにでも本格的にメニュー化してやってみよう!!!
と、、、思っていただけたら幸いなところです。
近年のこの業界は「明日からメニュー化!簡単にできる○○!」というような流れが目につきます。理解は出来ますが、プロとして鍛錬しないでも出来るってどうなのか?と疑問に感じます。
今回紹介している「縮毛矯正」は、そう簡単な技術ではないと感じています。
また、ナチュラル矯正・ニュアンス矯正・艶髪矯正、、、etcとメーカーや各サロンの方向性のバリエーションも豊富です。
特にメーカーは「こんなに簡単!うちの薬剤は傷まない!早い!」というようなシステムとして講習会も開催していますが、鵜呑みにしないことを警告しておきます。実際にいくつかのメーカー講習会も行ってみて危険を感じました。
縮毛矯正に時代性を加味する事も大事ですが、何事もまずは基本技術を身につけることから始まりますね。
この講座ではEASEが基本とする「縮毛矯正技術」をご紹介いたします。
それではまず、大まかな施術の流れからお伝えしていきましょう。
後に一つづつのプロセスのアプローチについて詳しくお話していきますので頭に入れておいていただければと思います。

■基本プロセス
1. カウンセリング&毛髪診断・・・矯正を成功させる為の情報収集になります。じっくりとカウンセリングしながら、お客様ごとに良く考えた提案が必要になります。
2. 薬剤選定・・・毛髪診断から得られた情報と、お客様とのカウンセリングを考慮した計画性を考えて、必要な薬剤と放置タイムを決めます。ここは時間をかけてでも十分な選定をしましょう。
3. プレシャンプー&トリートメント・・・薬剤の塗布は基本的にウエットヘアの状態で行いますのでまずは軽くシャンプーとトリートメントでチェンジングリンスをしておきます。矯正前にドライカットまでした場合は、再度ウエットにしてチェンジングリンスを行います。
4. カット・・・必要に応じて、矯正がやりやすい範囲でベースカットや削ぎまでを済ませます。
5. ブロッキング・・・正確な薬剤塗布は時間がかかります。塗り始めと塗り終わりでの時間差を出来るだけ少なくするためには塗布スピードを早くしなければならないので予め塗布に最適なブロッキングをしておきます。
6. 薬剤塗布・・・2で決定した薬剤を塗布していきます。実際に塗布するときになって薬剤選定を変更する場合も出てきますが、ケースバイケースで感じたとおり行うことが良いでしょう。
7. 放置タイム・・・2で決めたタイムを入れます。この際、塗布後の髪の状態をチェックしておくとよいでしょう。
8. 中間水洗&中間処理・・・還元状態のチェックをして、シャンプーと中間処理を行います。
9. ドライ&ブロー・・・中間処理後、ブローに入ります。このブローで8割程度の仕上がりの状態までクセを伸ばしておきます。
10. アイロン・・・ブロー後にアイロンに入ります。アイロンはブローで作られた状態に沿って熱を置いてくる程度になります。テンションをかけてアイロンで伸ばすような掛け方はしません。
11. 2剤処理・・・髪の状態に適した2剤(オキシorブロム)で酸化処理します。
12. 後処理・・・2剤のお流し後、適した後処理を行います。
13. アフターカット・・・適したアウトバストリートメントを行い、ドライします。必要に応じて調整のアフターカットをします。
14. 仕上げ・・・基本はドライ仕上げです。ブローは必要に応じて、お客様が行える程度に簡単に行い仕上げます。
こんな感じが大まかな流れです。

毛量や長さ、クセの強さ、カットなどで掛かる時間はお客様毎に変わりますが、3時間半~5時間程度の所要時間になります。
ちなみに現在、EASEでは長さフリー。コースはメンテナンスカット・フルカット。他店でのトラブル修正のための修正矯正・修正矯正ホームケアの4つで対応しています。
新規のお客様の99%がトラブルでのご来店です。そのほとんどは元々、難易度の高い素材です。それだけにこの技術の対応力に幅があるお店が少ないということかもしれません。

この講座を期に是非、貴店もそんな重要に応えられるサロン作りをしてみてはいかがでしょうか?
それでは次回からは、プロセス毎のアプローチを細かく説明していきます。

第1回 平成23年12月30日 
                                 ページトップへ
東京本部の毛利佳正です!
私のサロン EASE hair directでは「縮毛矯正」が看板メニューです。
    

このメニューを利用されるお客様の99%は女性。関東近県は勿論、矯正失敗トラブルのSOSは東北地方や中部地方からもご利用いただいております。
何故?「縮毛矯正」というものにこだわり、それを看板メニューとしてるのか?ということからお話させていただきますね。
ウエーブパーマやカラーなどのメニューというのは、お客様はある程度「気分」で選択できます。
しかし、縮毛というのは、いわば一生付き合う病気のようなものです。
髪が伸びたからカットする!と同じ様にやり続ける必要があります。
私が施術させていただいているお客様は2カ月~4か月サイクルがほとんど、次に6カ月サイクル。それ以上はほんの少しです。
「縮毛矯正しないとヘアスタイルにならない」お客様たちなのですね。
理容業界もどのような行く末か?と思えば女性のお客様も増やさねば!と思いました。
ただ、それには他店との差が明確に出るものでないと難しいのです。女性の美に対する姿勢は男性の比ではありませんからね(笑)
そこで思いついたのは「縮毛の女性」だったわけです。
彼女らはヘアデザインの前に「素材美」としてのストレートヘアを求めます。流行やデザインではないのです。
縮毛はストレートヘアに対するコンプレックスです。
そのコンプレックスを打破できるのは「縮毛矯正」しかないのです。
いわばそれは整形手術同様なのです。
チリチリ頭・うねうね頭などといじめにあう子供たちもいるのです。
ストレートヘアの子供がその素材としての髪をバカにされることなど聞いたことはありません。
「縮毛矯正」はセンスや恰好つけの技術で何とかなるものではなく、素材を見る目や薬剤選定の知識や眼力、個々の状態に合わせた計画性。。。。様々な要素の元に成立します。
しかも、誰が見てもその答えは一つ
「ストレートヘアが出来ている」
これだけです!結果がはっきりしています。
ウエーブパーマのように色々な答えはありません。
この一つの答えに対してより多くの正解を出せるほどに「縮毛」のお客様から支持されることが期待できます。
そしてそれは、「センスがいい・おしゃれなお店・カッコいい人が担当・サービスがいい・・・・・」
ではなく、「技術」でしかありません。
我々が本来、追求すべき「技術力」でお客様を満足させることが出来るのです。
技術者がおっちゃんでも「技術」で勝負することができるのです。
経験を重ねるごとに熟練し、それは近隣サロンに対する「絶対差」となるのです。
他店を寄せ付けない技術を明確に打ち出せます。
このようなことから長くお客様に支持され、晩年にわたって新規客を獲得できるサロンであるには????
という考えから「縮毛矯正」というものを看板とするという答えに辿りついたわけです。
それでは、、、次回は基本的なプロセスについてお話しますね。

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