NRG 日本理容技学建設会
 
 
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 アイロン技術のヘアケアについて質問をさせて頂きます。
 3~4週間に一度来店され、毎回アイパーを掛けているお客様のことですが、かなりの損傷毛になっている状態です。最近は、アイロンの掛け方などを少し工夫して、傷みも多少良くなってはいるのですが、やはり毛先がいい状態ではありません。来店されたとき傷みのために、前髪などまとまりが悪い状態です。
 ヘアケアの立場で何かすることがありましたらアドバイスを頂きたいのですが、宜しくお願いします。
                                          東京本部 I・H
答002 
 アイパーという事なので根元に方向性のあるクセを付けて毛先はストレート状の感じでよろしいでしょうか??
 そう捉えて自分のヘアケアとしての観点でお答えしますね。
 一番の問題点は還元コントロールのケアが出来ていないという点です。
 基本的に根元に還元が必要なので、前回部分に対して如何に還元を減らすかしかありません。それにはある程度の長さも必要です。
 自分が担当するアイパーのお客さまは一人しかおりませんが、施術の方法をお伝えしますのでそれを参考にしてください。
 周期は4週間です。スタイル的にはオールバック。バックは刈り上げで耳はキレイに出します。但し、耳周りはツーブロックにしてアイパーを掛ける部分の長さを確保しています。
 カットはほぼプレカットで済ませますが、サイドに関してはアフターで完成させる感じで、ギリギリ薬剤処理がしやすい長さを残しています。
 前処理は無し、薬剤をスポイト&コーミングで全体に塗布します。
 すぐにタイムを7分入れます。(7分で十分掛かる薬剤を使用しています)
 そのまますぐに毛先へ「グリシス」というシリーズの中の「SH(シールド)」というph3のプロテクトクリームを塗布します。このプロテクトクリームは薬剤作用の50~70%く らいを減力する効果があります。よって毎回毛先には薬剤作用をかなり減力できるのでビビリになりにくくなります。
 とにかく出来るだけ早く的確な部分への塗布テクニックが重要です。これは文章ではお伝えしようがないので割愛させていただきます。
 あとは通常通りで良いと思いますが、新生部に関しても出来るだけ余計なダメージを与えないように低還元はもとより、タンパク質を出来るだけ含まない処理剤でポリイオンコンプレッ クスで皮膜を形成し、ドライヤーでブローして完全乾燥後にアイロン処理に入ると良いと思います。
 このような薬剤処理を行うにはある程度の長さも必要です。自分は毛先のビビったスタイルは避けたいのできちんと出来る長さを提案します。受け入れてもらえなければ、施術はお断りしてます。
 ちなみに担当しているお客さまは刈り上げやそのつなぎはプレカットでほぼ前回部分が無くなるのでそこは除き、サイドツーブロックにかぶって流れている部分が一番短くて3,4cm 。トップでは7,8cmだと思います。
 毛先のビビリは一切ありません。毎月アイパーとは思えない毛先の状態の上、きちんとシルエットも収まります。
 以上参考になれば幸いです。


質問001                                                  ページトップへ
ヘアケアの特別講座勉強になります。質問をお願いします。
今月全理連からJIGというニューヘアが発表されましたが、そのテキストの中に次のようなケア剤が書かれています。
PPT、CMC、ケラチン、キトサン、ヘマチンです。それぞれの用途を教えて下さい。よろしくお願いします。
                 東京本部・会員

答001

お答えします。
★PPT(ケラチン・コラーゲン・シルク・小麦・羽毛・・・)
 パーマなどによって髪のケラチンタンパク質は分解されて欠損します。その欠損を埋めて、強化するのに適しているのがPPT類です。化学修飾によって残存のタンパクに結合して絡みつく 感じで作られているものがほとんどだと思います。
 使用することで、弱い還元しか使えないダメージヘアでもカール効率UPや、S-S結合を擬似的に増やすことでパーマが掛け易くなったりします。
 ただし、やみくもに使うと掛かるパーマも掛からなくなったり、仕上げでのカールのダレになったりします。

★CMC(細胞膜複合体)
 既存のCMCはケラチンタンパク同士やキューティクルの接着とカラー剤、パーマ剤、水分の通り道になっています。ラメラ液晶構造になっており疎水基と親水基がキレイに並んでいます。
そこの間を薬剤は通って行きコルテックス内部のS-S結合の分解やメラニン色素の分解を行うわけです。
 通り道ゆえに薬剤が通ればその部分はダメージとして破壊されていきます。本来の機能は低下しますので次回からは薬剤はよりスムーズに入っていくようになるので過剰に反応したりす
るわけです。また、パーマにおいてはカール形成のためには還元されたコルテックスが目的の位置にずれていく必要がありますが、CMCが過度に欠損している場合にはスムーズなコルテッ
クスの移動がなされないコトも考えられます。
 前処理では薬剤の通り道を埋めて、作用を抑制し、中間処理ではコルテックス同士の癒着を防ぎ、後処理では空き過ぎた通り道を埋める。という感じです。

★キトサン
 甲殻類などから抽出した高分子化合物です。皮膜形成に使われるので擬似キューティクルとしての働きがあります。皮膜形成といっても細かい網目状に成るのでその後の薬剤の作用を阻
害するほどのモノにはなりません。前処理に使うとアルカリ膨潤により広がろうとする髪を抑えてくれる感じになり、中間後処理では皮膜の形成になります。

★ヘマチン
 豚や牛の血から抽出したものです。鉄の分子構造を持っているので還元剤の働きを抑制したり、1剤にほんの少量を混ぜ込むことで水洗後も残り、酸化効率を上げたりが期待できます。
前処理では1剤の抑制やカラー効率のUP。中間処理では2剤酸化効率のUP。後処理では残留薬剤の除去などです。

 質問にはありませんがJIGのテキストに載っていたクリープパーマのことで少し付け加えます。
★クリープも今や色々な観点で伝えられているので正しい間違いではないのですが、本来パーマではSーS結合切 断により、コルテックスの移動=カール形成が促されますが、さらに応力
緩和(曲げるという負荷を掛けた分曲がりきって安定するところ)を待つのが「クリープ期」と呼ばれるものです。
 例えば、1剤の還元時間を10分→水洗→2剤処理してつくられたカール状態を1剤5分→水洗→クリープタイム→2剤とすることでクリープ期を利用すると応力緩和+多少の残留還元
剤により10分還元したものよりも低い還元で同じカールを出すことが期待できるわけですね。しかも還元時間が短い=髪の破壊が少ないとなるので髪の弾力も維持しやすく、ダメージ
進行も遅くなるのです。
 という観点から考えると、アイロンでカール形成する前の段階で時間をおいてもクリープ本来の意味は全くないモノと判断出来ます。
 アイロンパーマのクリープはアイロンを入れたその一瞬でしかないと思います。
 話はズレますが、アイロンでのクリープパーマというのであればアイロンでのタンパク熱変性とコルテックスのズレによるカール形成の双方の良いとこ取りをする必要があります。
 コレは長めのスタイルに使えます。還元後、ドライして普通にアイロンでカールを付けます。アイロンがすべて終わったら、水分を与えてロッドワインディングします。ワインディング
が終えたらもう一度水分を与えて、スチームタオル&キャップで遠赤10分程度置きます。で普通に2剤処理してロッドアウト。
 プリンプリンのカールが出来ますよ~。うちはデジパーがあるのでこれはやりませんがモデルさんやウイッグでは検証済みです。
 以上解りにくいかも知れませんが参考になる点があれば幸いです。

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