NRG 日本理容技学建設会
 

                  034 平成28年1月25日掲載
  

     仕事 とは ?

                      東京本部 加山哲治  
                      cut-work-t2@fork.ocn.ne.jp  

 

     仕事  とは  ?

今の私が仕事をさせていただけるのは日技会のおかげです

私の師匠は日技会の講師。

技術のバイブルは技学全書。

インターン当時は技術よりも電話の応対、先生のヘルプ、下働き、等がメインで、お客様とのコミュニケーションを考えながら対応していました

師匠のお店を約7年間お世話になり卒業を認めていただき、私の実家近くに「カットワーク哲」を平成元年にオープン。
期待と不安の中、私の学んだ技術をお客さまに提供しようとしましたが、幼馴染の悪友より「カットは出来て当たり前。居心地の良いお店にしてくれ」と言われ、理想のお店は、一流ホテルのコンシェルジュの様に、お客様の要求を聞かずして提供出来るよう心がけました。(カットの注文は別)
まずは、BGM以外は出来るだけ音を出さないように注意をはらい、例えば、私が店内を歩くときの足音・スチーマーの開閉音・クロースをたたむ時の音・各扉の開閉音・等極力音を出さないように気遣い、お客様の会話も、入店時には「いらっしゃいませ」。順番が来たら「○○様、お待ちどう様でした」。その後、天気の話し、前回来店された時の話題、時事ネタ等で会話を楽しみ、又、ゆっくりされたいお客様には心地よい鋏みの開閉音でくつろいでいただく。そして、お帰りになる時には「ありがとうございました」。  しかし・・・

平成27年4月より母の介護により「カットワーク哲」を閉店して、私の実家「加山理容館」にて父と2人で仕事をすることになり、生活が一変。

私の父は年齢 81歳。現役バリバリの職人。来店されるお客様もお子様から年配の方まで幅広い層が「父のファン」として来店していただいています。

父は、若い頃、コンテストで鍛えた技術と昔ながらの職人気質で数店舗を渡り歩き、53年前に今のお店を開店し、お弟子さんを5人育て上げ、座右の名は「心を入れて仕事をする」

そんな父ですが私に対して技術の教えを頂いたことは一度もなく、父曰く「お前に教えてくれた方に失礼だ」「教わり方が違うとお前が戸惑うからあえて言わない」との考えのようです

しかし接客に対してはウルサイ位口を出してきます。
「お客様の気持ちになれ」、や、「とにかく感謝しなさい」等、精神論を言われます。
お金の管理においても「1円を軽く見るな」「経理は毎日記帳しろ」「カット代金を頂くときは最高に感謝してお金を預かりなさい」

カット最中の会話においては、「いらっしゃいませ」~「ありがとうございました」までほとんど話しています
内容は、自身の生い立ちと生きる為の理念・近所の情報・地元の過去情報・孫の話し・他のお客様からお聞きした情報等1人で話っぱなしです。明石家さんまさんの次に話す人間と思うくらいです
私からすると会話ではなく独り言のよう思うのですが、父のお客様はその話を聞きに来てくださる方ばかり。
話のネタ集めのために、ネタ帳を管理して体調管理に睡眠は十分にとり、食事管理も世間で良いと言われるものはほとんど試している。現在も煮干・大豆・アロエを毎朝食しています

この様な環境で再出発したのですが、改めて考えてみました。技術だけではダメ、口では仕事はできぬ、最後は人柄になるのでは・・・、斉藤先生も言われていた言葉を思いだし、理容業の奥深さを感じました。

最後に、父より魔法の言葉を教えてもらいました
お客様が帰られる時に一言

「また、連絡まってます ね!奥さん(ご家族の方)によろしく ね!」
(子犬が下から目線でお願いするように)

私のお店では結構、効果があります  ご参考に!ね!

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