NRG 日本理容技学建設会
 

  第53回
    年頭所感

                   東京本部 星野 弘
                   shishiza1943@yahoo.co.jp  
                                                

平成30年
         年頭所感
 明けましておめでとうございます。新年の清々しい朝をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 
毎年のこと我が家では、小正月(1月15日)に小豆粥を家族そろって頂きます。健康で長生きしたい、長生きしないまでも寝込んで家のものに迷惑をかけたくない、というのは誰もが願うところだと思います。
 
どのくらい前の話になってしまうのか、私が日技会東京本部に入会し毎週のように中野・斉藤会館へ通っていた頃のことです。本部では「新年鋏開き」という行事があり、皆でお汁粉を頂きました。開式は決まって総本部会長の、それはそれは味のある訓話で始まります。今でも記憶に残っている話題の一つ、「礼に始まり礼で終わる」というお話では、人と人の出会いを素晴らしいものにし、「礼」この一言に接客業の精神が言い尽くされている、と。そのお話から多くのものを吸収することが出来ました。今でもハッキリと思い出します。お話が終わると会長自ら模範実技。川の水が流れるように自然でその美しい姿勢に会員は皆、目を輝かせて見入り、格調と気品ある優れた技術であることを知りました。普段の自分の悪いクセに気づくなど学ぶことはたくさんあり、「何事も礼の精神に気づき、将棋の歩の駒のように一歩一歩目標に向かって前進していくんだ」と胸が膨らんでいくのを自身の中で感じる、当時はそういう教育を受けておりました。会員全員で美味しいお汁粉を頂くのがとても嬉しく、東京本部の伝統行事として長く続いていました。
 
今思えばそれら根底に流れているのは、会員の健康を願う祈りの心であり、会主斎藤隆一先生が遺された会の財産「日本理容技学」の伝承の機会ではなかったかと思います。
 
ところが現代は色々のものが発達し、私達の暮らしも随分と豊かになりました。その一方で、人々の欲求にも変化が表れ、好き勝手にやってもいいという風潮が見られます。その中で大切なことは、とかく派手で新規なものへ走りがちな業者に「プロとしての心構え」を常に説いていかなくてはいけない。特に日技の会員には、日技会でなければ学べない会主の遺された、いわゆる斉藤技学を正しく、しかもわかりやすく後に続く者に伝えるんだ、ということをはっきりともっていなければいけない。その為にも技学の修練を通して人間性を養い、自分自身を高めていく、その為のどのような場面でも学習の場は、自立するきっかけをつくる環境でなければいけない。そう考えると、「自分に何が必要か」を自らが考え、その心を養える環境が、今、少ないように思えてならない。今一度豊かさが当たり前の現況を見直す必要があるのではないでしょうか。
 
皆さんもそれぞれに自分の人生を振り返ってみると、良い時もあれば悪い時もあって、様々なご苦労を重ねてこられたことと思います。ひょっとしたら今も悩みは尽きないのかも知れません。それでも今年もお正月を迎えることが出来ました。先ずはそのことの喜びを是非味わって頂きたいのです。「おめでとう」と挨拶をしたら、自分がやるべきことをしっかりと成し、一歩一歩と前進してまいりましょう。そして、一年の終わりには「有難う、おかげさまで」と言える一年にしていきたいものです。あれが無いこれが無いと嘆く前に、今あるささやかな幸せに感謝できる心、これが幸せに生きる秘訣です。是非小正月には小豆粥を召し上がって頂き、新しい年を元気に大切にお過ごし頂くよう心からお祈り申し上げます。
  

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