はじめまして。今年の六月より日技会に入会させて頂いた、naturelの佐藤桂太です。狐塚均先生のところで勉強させてもらっています。
四月からの入会ではなかったのもあって、唐突にミディアムカットのコースを受講したのですが…それはもう衝撃的でした。癖直しを始めたばかりの段階でウイッグを刈るまねごとをするのですから。身体が固い、鋏は自然と工具鋏の持ち方になるわで、助講師の方には文字通りの二人羽織りの状態で刈り方を教えて頂きました。
しかしこのまねごとが回を重ねるにつれ、少しずつ変化していくようにも感じました。それはつい最近の出来事で気づきました。お店の前の木を剪定していた時でした。話を前後してしまいますが、狐塚先生のところに入門して数週間後にお店の前の木を丸く剪定するように言われました。その様もなかなか珍妙なのですが、鉢に屑が入らないように、幹にブルーシートを巻いて上の木を丸く刈りこんでいくのです。まるでお客様にクロスを巻いているように。私はうまく刈れず、二時間をかけ欠損部分があるブロースを完成させました。
「伸びてきたらまた練習できるから」と言われ、つい先日に機会がやって来ました。「まずは暈さなくては」と自然に考え、直線の運行ではなく、円の運行で刈っていったのです。チョキ、チョキとした音がやがてジャキンジャキンジャキンとした活版印刷のマシーンの音のようにも聞こえ始め、自然と連続刈りをしていたのです。その様を道路から見ていたおばあさんが、ボソッと「かっこいいね」と言ってくれました。4か月前には全く聞こえてこなかった言葉でした。以前ならば、たいへんだねぇ、暑い中よくやるね、ここが出っ張っているんじゃないの、といったような奇異の視線とどこか嘲笑めいた感想を通行人の人は持っていたはずです。先にも述べたとおり、それはそれはシュールな光景だったわけですから。自惚れを覚悟して言いますが、何故その珍妙さがカッコよくなったかといえば、少しばかり様になったからだと思いました。木を木として捉え、それを球体にしていくというのは植木職人の仕事です。それを床屋のまねごとをする人間がするのですから、コントのようなものです。でも床屋が木を人間として捉え、それを人間のカットをするように刈っていくとしたらどうでしょうか。別のおばさんが、「いいね、本職なんだからさ」とも言っていました。言い得て妙ではありませんか。そのとききっとおばさんには本職に見えたのです。植木職人ではない方に(笑)。
植木はウイッグよりもはるかに素直に刈ることができるからこその芸当で、別物といえば別物になってしまいますが、私には4か月前にはできなかったことでした。これも日技会での講習を経たからこその結果だと思います。いずれこれをウイッグに、ゆくゆくは人の頭を刈れるように日々努力していこうと思っております。
最後に、「まだまだ」という言葉すらも付かぬ未熟そのものである私ですが、先生方をはじめ先輩の方々。ご指導ご鞭撻をいただきますよう、よろしくお願いします。
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