某新聞社が経営トップに面談して行なった景気アンケートの集計で、「国内景気の状況では業績が上向いており、個人消費の底上げや設備投資にも結びついている」と判断しているようだ。「見通しも明るい」「20年に及ぶデフレの終わり、出口が見えてきた感じがする」といった声もあったと報じています。とは言うものの、百年に一度の大不況で、私ども業界はかつてないほど冷え込んでしまった。その話を口にするとみんなしぼんじゃうのであまりそういう話はしたくないのですが…。 バブルが弾けて以後不況が続き、その最大の原因は「発想力」が凍り付いてしまっているからだと言われています。不況と言うから「景気は回復するもの」と考え、ジッと我慢して回復を待つ、と言うのです。つまり「待ちの姿勢」になってしまっている。待ちの姿勢からは発想力は生じ得ないでしょう。 こういう時代、一番大切なことは時代の流れに乗っていかないと商売は成り立たない、という事です。新しいものを人より早く取り込んで、変化を起こしたところに繁栄が訪れると何かの本で読んだことを思い出します。いま売上が思うように伸びないなー、と言うお店は、もしかしたら、この時代の変化に対応が遅れて繁栄に見放されてしまっているんだろうなー、と、私は思います。今や競争の最大のライバルは、隣の同業ではなく、時代の変化なのです。「時代の風」を感じながら、どんな場面にでもスンナリと溶け込んでいけるだけの豊かな感性を持ち合わせていくことが大切なのです。 ところが我が業界はそう言うことが全く下手な業界なんです。何故かと言うと、それは理容師のメンタリー(注意力・理解力・心理)の中に古い意識の職人気質が厳然として残っているからです。これでは繁栄するわけがありません。変化についていかれないのです。「今度こそお客様のためになることをやるぞ!」という意気込みが今必要なのです。理容業の原点に戻る。初心に還る。業に対し「本気」になる。お客様に愛される理容業とは何かを真剣に考え実行するべき時が今なのです。 私たちは、次の世代の子供たちに幸せな未来を用意しなければなりません。前途がいかに険しいものであろうとも、相協力してより良い21世紀の業界をこの子供らのために残すことこそ、今、我々に課せられた共通の課題であります。それには、一人ひとりのお店が繁栄しないことには業界は活性化しません。それぞれのお店がその地域に根ざさないといけません。どんな規模のお店でも、それなりに魅力あるお店にできるのです。私たちの技術は世界トップクラスと評されています。あとは社会の急激な変化に対応でき、理容サロンの業態=売り方の工夫、明るさなどが変われば活気は取り戻せると、私はそう思います。社会はそう言う理容業を待ち望んでいる気がします。 ここ数年、日技会のHPが充実し更新情報を発信していることに、会員の一人として心から嬉しく思います。殊に特別講座には目を見張るものがあります。今年2月から5月にかけて「現代サロンヘアを通して読み取るカッティング原則集」のテーマで、狐塚均先生が執筆し連載されました。カッティングで使える学力がこれを読むことでぐんぐんついたことでしょう。私も愛読者の一人、カット技術の不思議、いろいろな考え方の面白さ、発見する楽しさなど、何度も何度も読み返しながら実技体得することによって新しい発見に出会えました。そして自然にカットの実力が付いていくよう実感したのです。 |