会員発表 第53回
 3Dプリンタで作るロッドケースの紹介

                 熊本本部 佐藤実行  

                  sfxtrand@gmail.com  
                           

 
みなさんこんにちは。熊本本部の佐藤です。
今回はパーマ用のロッドケースを作ったのでこちらを紹介したいと思います。

今回の物を作ろうと思った動機ですが、
お客様のパーマを巻くとき、ヘルパーがいると効率よく施術できますが、
来客等があってどこかに行ってしまうと、当然作業効率が低下しますよね?

あと気になっていたことは、巻き終わった後のロッドケースが散らかり放題になってしまうことです。
巻き損ねのペーパーやバラバラに置かれたロッド、時には付け巻き用アプリケーターが倒れてベトベトになったりします。
施術し終わった後、お客様の頭は綺麗に巻かれていますが、反対にロッドケースは審美的に良くない物になってしまいます。
このような問題は修業時代から思っていた事で、会員の皆さんも感じていたことでしょう。
今回は得意のDIYを生かして解決してみようと思いました。

普通はロッドケースにパーマロッドを平面的に並べるものですが、
ここではロッドを階層的に並べるようにしました。
前回紹介したシザータワーと同じようにビルディン状に並べる方法ですね。


天板にはゴムケース、ペーパーを置くようにしました。繰り返し作業で1番使用頻度が高い物なので、なるべく施術面に近づけようにと思いました。
天板は技術者に向けて前下がりにしているので、ゴムとペーパーが取りやすくなっています。
その上の握り手は過去の創作物と同じく外せない機能です。既に私の商標(笑)となっていますね。

 
天板下は各種ロッドを入れる場所です。三列に区切られたコンテナを三段に分けて本体に収納します。そこにロッドを入れるわけですが、取りやすくしたりロッドがこぼれ落ちたりするのを防ぐために、奥下がりに傾斜をつけています。
上から大きい順にロッドを配置すれば、直感的にロッドを選び取ることが出来ます。
各段のコンテナは簡単に入れ替えが出来ます。

 
こちらも皆さんも思い当たるでしょうが、ロッドケースに置いたペーパーがエアコンの風や人が通り過ぎたときに吹き飛でしまう事がおありだと思います。
使わないときは天板のコーム留にコームを差し込んでペーパーを押さえる機構をつけました。

  
サイドとバックにはカバーを取り付けて、筐体の強度を保つ役目と、デザインポイントとなります。

 

今回の製作にはまさに3Dプリンタがうってつけです。割と最近購入したのですが、少しは使いこなせるようになりました。
モデリングソフトでデザインして、スライサーソフトで各種設定をして印刷していきました。

しかし高さが450ミリもあり、持ち前のプリンタギリギリのサイズです。印刷物としては大きい方なので、サイドカバー一つだけでも15時間もかかってしまいました。
バックカバー、天板、ハンドルなど全部で8つの部品を組み合わせる必要があるので、総印刷時間は63時間!?にも及びました。

ロッドを入れる透明コンテナだけは市販品で丁度いい大きさの物があったので、それを使っています。
印刷が終わったら各パーツを接着剤で組み合わせて完成です。


ちなみに上の写真は今回の前身となった、今までお店で使用していたロッドタワーです。
当時は3Dプリンタとかありませんでしたからベニヤを使って製作しました。

 
こちらの方は裏返して裏蓋を開けるとパーマ液、ターバンやキャップなどを収納出来るようになっています。
このまま講習会場などに持って行って、これだけでパーマを完結させたいと思ったからでした。

お店に置いた状態です。
 
手元近くでペーパーやゴムを取る事が出来るので、ワインディンが楽になりました。
ロッドも大きい順に上から並べて置けるので、ロッド選びで迷うことが少なくなりました。
ワゴンの天板をロッドケースで占有してしまうこと無いので、空きスペースにちょっとした物を置くことも出来ます。
これでパーマ液をひっくり返すことも無くなりましたね。

問題だった巻き終わった後にロッドケースが乱雑になってしまう現象ですが、
ロッドタワーだと巻き損ねや、選び違いのロッドは何故か元の場所に収納したいという心理が働くのですね。
ワインディング終了後も最初と変わらず理路整然となっています。

外見的にも変化しました。
今まではパーマ用ケースといえば只の道具箱的扱いでしたが、
タワー型にすることにより、カラフルなロッドを飾るショーケース的な物、オブジェ的意味合いに変化しました。
これで日陰者扱いだったロッドケースが、お店で存在感を積極的にアピールするようになりました。

今ではスマホやタブレットといったデジタル機器など珍しくなくなっていますが
3Dプリンタ自体は余り普及していないので、興味を持たれるお客さんが多いです。
今回が初の3Dオリジナル製作物となるので、嬉しくて常連さん達についつい自慢したくなります。暫くは話しのネタには困らないでしょう。

慣れるまで思い通りに行かない事が多くて大変でしたが、3Dプリンタという画期的なツールで物作りの幅が大きく広がりました。
次は何を作っていこうかと考えると今後が楽しみです。

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