会員発表 第32回
                                
  
理容師体操と基本姿勢の訓練法を活かした
    理容エクササイズ


                          東京本部  狐塚均

                             naturel_12@yahoo.co.jp
 

 理容エクササイズは、理容師が国家試験実技課題であるミディアムカットなどを行うときの「基本姿勢」と、全理連制定の「理容師体操」を合わせて、美と健康のためのエクササイズとしてまとめたものです。私は、このエクササイズの動画を、医療関係やスポーツジムに詳しい方など数人に見て頂いたのですが、真面目に取り組めば、ダイエット効果も大いに期待できるという助言も頂きました。
 「基本姿勢」の方は、落とし腰が基盤になっているため、太ももを鍛える動作が随所にあります。太ももは大きな筋肉であり、エネルギーの消費も多く、そこを鍛えることは、ダイエット効果が高いとも言われています。ダイエットは、意志3割・習慣7割という話を聞いたことがあります。理容師の方はもちろん、様々な方にこのエクササイズを習慣化して頂けると幸いです。
 なお、今回はエクササイズということでの提案ですが、元々この内容は、理容技術者育成のためのものです。上級技術者を目指す若い理容師及び、理容学校生には、技術姿勢の大切なトレーニングになります。正しい姿勢は、優れた技術に直結します。技術者としてのステップアップのために是非ご活用下さい。
 
1、説明編 (5:58)
 
 https://youtu.be/JMeEdJWHKhg


2、実際編 (12:36)
 一緒に理容エクササイズをやってみてください。落し腰のタイムは3分間です。
 
 https://youtu.be/T02iwXFjBdU


 【実際編・初級版】 (9:52) 
 連続でのランダムはノーマルテンポのみ、落し腰のタイムは2分間の短縮版です。
 
 https://youtu.be/VtaewwTTlIc


3、理容師体操編 (4:06)
 let's begin it together
  
 https://youtu.be/WeflbS0UujU


4、落とし腰5分間 (5:20)
 落とし腰のタイム3分がクリア出来たら、5分にもチャレンジしてみて下さい。
  
 https://youtu.be/FBuN1iqWtxc


5、理容エクササイズ実践プログラム
 次のコースから選んで行ってください。
 ① 10分 エブリデイコース
  動画2の実際編または、動画3の理容師体操編のどちらかを動画に合わせてそのまま行います。
 ② 15分 フルコース
  動画2の実際編の後、動画3の理容師体操編を続けて行います。
 ③ 20分 ストロングコース
  動画2の実際編の中の落とし腰のスローを5回繰り返し、落とし腰のタイムを5分にして実際編全体を行います。その後動画2の理容師体操編を行います。
 ※通常行うものは、動画の2と3です。これは、スマホにダウンロードすると使いやすくなると思います。


6、動作の説明
 ①0°戻し
  0度に戻しながら各角度の姿勢を行います。0°に戻すことで次の正しい姿勢が作りやすくなります。
 ②連続・姿勢キープ
  0°戻しをしないで、連続で順序に沿って角度の姿勢を作ります。0°戻しをしないで行うことの訓練となります。姿勢のキープは、姿勢の理解と共にエクササイズの効果も高まります。
 ③0°戻し・ランダム
  角度の姿勢を作ったら、一旦0°に戻し、それから次の角度の姿勢をランダムの順序で行います。0°に戻すことで次の角度が正確に行いやすくなります。ランダムに行うことは、姿勢の理解を深めます。
 ④連続・ランダム
  ランダムの順序で掛け声に合わせて角度の姿勢を行います。0°戻しをしないでランダムに行うことは、更に姿勢の理解を高めます。
 ⑤落とし腰・スロー
  落とし腰の動作をゆっくり行います。5つゆっくり数えながら落としていき、下がったところでゆっくり10数えます。そして、5つ数えながら上がっていきます。これを数回繰り返します。
 ⑥落とし腰・タイム
  時間を計って落とし腰をし続けます。3分を基本として、ハードにしていく場合は、5分、10分と長くしていきます。


7、基本姿勢についての解説
 ①基本足位
  
 先ず、両足を揃えた状態からつま先を左右45°づつ開きます。次につま先を軸に踵を45°づつ開きます。そして、再びつま先側を45°づつ開きます。これは、安定した姿勢で理容の技術を行える歩幅です。
 ②落とし腰
 両手を顔の前で組み、腰を充分落とします。その際次の点に注意をします。
  ・背筋を伸ばす
  ・顎を前に出さない
  ・腰を前に出さないで、真下に降ろす
  ・首を前に出さない
  ・首を前傾させないで前を向く
 垂直に腰を降ろした状態は、「0°姿勢」になります。
 ③15°姿勢(③④⑤⑥は右側の角度姿勢で説明。背面の写真は角度が解りやすいように両手を広げました。)
  
 傾斜角度・奥行きの角度が共に15°です。右の膝を少し伸ばします。
 ④30°姿勢
  
 傾斜角度・奥行きの角度が共に30°です。右の膝を一杯まで伸ばします。
 ⑤45°姿勢
  
 傾斜角度・奥行きの角度が共に45°です。右の膝は0度姿勢の位置で左の膝を伸ばします。その際左の腰が前に出ないように注意します。あくまでも技術者の臍が動きの中心となります。
 ⑥平面45°姿勢
 傾斜角度は45ですが奥行きの角度はありません。平面的な動きです。
 なお全ての角度に共通しますが、注意することの一つに、首の角度を残さないようにすることがあります。これは、どの角度でも、背骨の角度と首の角度を変えることなく、真っすぐにすることです。

 ※角度に関する補足
 基本姿勢の角度は、垂直を0°として上から数えます。しかしミディアムカット後頭部の運行角度は、水平を0°とし下から数えます。従って運行角度75°は、15°の基本姿勢で行います。運行角度60°は、30°の基本姿勢で行います。45°は、運行角度も基本姿勢も共通です。


8、理容師体操解説
 01 腕を前にあげひざをまげる
     
  力を抜いて軽く
 
 02 腕をまわしひざをまげる
     
  軽快に

 03 腕を横に開く
    
  力強く
 
 04 ひざをまげる
    
  思いきり

 05 両肩を後ろに引く
   
  大きく胸を張る

 06 首をまわす
  
  ゆっくりと

 07 水平
    
  静かに

 08 肘を横にあげる
   
  手首の力を抜いて、手より肘を高く

 09 体を横にまげる
    
  強く

 10 体を前後にまげ伸ばしする
   
  上体の力を抜いて

 11 上体を斜め前にまげる
    
  思いきり

 12 ひざを伸ばす
    
  反動をつけて

 13 腕を上にあげひざを半ばまげる
    
  上体を正位に

 14 ひざを思いきりまげる
   
  十分に

 15 重心を移す
    
  腰を引く

 16 あしぶみ
  
  力強く

 17 はずむように跳ぶ
  
  体中の力を抜いて

 18 深呼吸
   
  ゆっくりと大きく

 理容師体操は理容師のために、全理連制定で旧中央高等理容学校講師会により作られたものです。
 ①    理容師の健康管理
     健康の保持増進と疲労回復
 ②    理容師の正しい姿勢の確保と習慣化
     悪い技術姿勢から起きる悪癖の矯正
 ③    理容技術姿勢の習熟トレーニング
     日常生活姿勢に使用されない筋肉等の強化
 ④    巧緻性の涵養
     技術収斂の身体練磨
 ⑤    リズム感覚の理解
     体操伴奏音楽を通してリズム感を養う
 ⑥    その他
     理容技術中の美しい身のこなしの訓練


9、正しい技術姿勢の確保と習慣化
 理容エクササイズは、健康面だけではなく、技術者の正しい基本姿勢の確保と習慣化が大きな目的の一つです。様々な技術での技術者の姿勢が良くなってこそ理容エクササイズの存在意義になります。
 次の写真は、各技術ごとの技術姿勢ですが、
 左が正しい姿勢で、右が悪い姿勢です。
 ○シャンプー・ヘッドマッサージ
  
 ○シェービング
  
 ○顔面仕上げ
  
 ○カット1
  
 ○カット2
  
 ○カット3
  
 ○仕上げ
  
 ※美しい技術姿勢は、鏡を通しお客様に対し無言の安心感を与えることに繋がります。


10、椅子に座って出来る理容師体操 (4:19)
 「椅子に座って出来る理容師体操」は、理容師体操のビデオに合わせて、椅子に座ったまま上半身の動きを、出来る範囲の中で行うものです。このようにすることで膝などの痛い方にも体に負担をかけ過ぎず、ビデオに合わせて一緒に行うことが出来ます。なお足は、可能であればリズムをとる程度の動きをすると良いと思います。
 
 https://youtu.be/5MrcWj4c8s4


11、肩こり解消ストレッチ
 理容師体操の動作から肩や背中の凝りを解消するストレッチです。このストレッチは全てゆっくり行います。カッコ内は、理容師体操での順番です。
 1、(3) 腕を横に開く
 先ずは基本足位で正体します。
 
 両手を広げます。
 
 そのまま右に90°回転して真後ろを5秒間見ます。
 
 左も同じです。
 

 2、(5) 両肩を後ろに引く
 組んだ手を後ろに引き、5秒間静止します。
 

 3、(6) 首を回す
 ゆっくり首を回します。2回転ずつ左右回します。
 
 
 

 4、首筋をほぐす
 両手を首の後ろで組み、左右の母指で首筋を指圧します。
 
 この動作は、理容師体操にはありません。

 5、(8) 肘を横に上げる
 両肘を高く上げ、5秒間静止します。
 

 6、(18) 深呼吸
 最後は、ゆっくり深呼吸です。
 
 

 
※その他
  理容師体操は、上記だけではなく、どの部分をとってもゆっくり行うことでストレッチになります。例えば次の動作などは、単独で行っても気持ちの良いストレッチになります。
 7、(10) 体を前後に曲げ伸ばしする
 後ろに反った状態と前に屈んだ状態でそれぞれ5秒静止します。
 
 

 8、(11) 上体を斜め前に曲げる
 体を曲げた状態で5秒静止します。
 
 
 

 【肩こり解消ストレッチ動画】
 
 https://youtu.be/U6TlGP359Xw


12、「理容エクササイズ」作成スタッフ

 左から佐藤桂太(仙台出身)、秋田紀恵(北海道出身)、狐塚均(浜松市出身)
       撮影・平成27年12月25日


13、理容師体操の起源
 理容師体操は、昭和30~31年にかけて、東京教育大学体育学部の助教授(当時)の指導の元、中央高等理容学校(現中央理美容専門学校)教員により作成されました。そして全理連で制定し、レコード化もされ、昭和31年10月の京都で開催された、第9回全国理容競技大会の会場で、中央理容高等学校3期生のマスゲームにより発表されました。理容師体操のDVDは、株式会社 斉藤会館(TEL03-3381-9821)にて販売しています。
 ※理容師体操発表の模様 (写真提供 星野弘・前日技会会長)
  
 ※理容師体操のジャケットとレコード
  


14、追記・掲載記事
 サロン流通新聞 2016/7/1


 http://nichigikai.com/html/kh032koduka.html
 


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