会員発表 第11回   編み込みヘアー
           

 
東京本部  多羽田 紀志
info@hd-fuga.com  (FUGA)
●プロローグ

 初めまして。東京本部の多羽田紀志です。中内英雄先生、浩司先生のFUGA by NAKAUCHI に勤務しております。先日、当店の練習会にて、中内浩司先生に編み込みヘアーの基本的技術といくつかのバリエーションを教えて頂く機会があり、その練習会にて先生に教わりながら私がおこなった模様を写真を交えながらご説明させて頂きたいと思います。

●①アップセットと編み込みの技術を習得することの意義

 アップセットはおもに女性が、成人式や卒業式、結婚式やパーティーなどのセレモニー的な特別な機会のときに、また、和服やゆかたなどを着用する際に、頭髪を結い上げるスタイルにセットすることを指しますが、最近では、そういった特別なとき以外にも日常のなかで少しだけ気分を変えたいときなどに、普段降ろしている髪を少しだけアレンジしたいというニーズが高まっています。
 また、そういったニーズの高まりの割には、本業とする「美容店のアップ技術に対する技術レベルが、実はあまり高くない」という現状と、特別な設備や高価な器具が必要無く、理容店でも技術導入しやすく、「アップアレンジが出来る」というアピールに対する女性客の反応の良さと、「アップセットで満足すると再来率が高い」女性客の動向傾向を鑑みると、是非にも習得したい技術と言えます。
 編み込みの技術は、そうしたアップセットの技術のなかでも、「毛量が多い」「髪が長すぎる」「髪が短すぎる」「ボリューム感が出づらい」といった『いい感じにアップするのが難しいお客様』に対してとても有効な技術で、かつ、『ほんの少しだけアレンジしたいお客様』に対してもとても使える技術です。
 そして何より、「いい感じに編み込みが出来ると、センスが高い技術者に思ってもらえる」技術が編み込みなので、是非習得したい。

●②実践(写真ではアップスタイル練習用ウィッグの一番毛量が多くて長いものを使用)

・スタイル① 「三つ編み」の「裏あみ込み」をつかったスタイル

 「三つ編み」には「表編み」と「裏編み」がありますが、「編み込み」を行うときには『編み込んだ部分がより立体的になる』裏あみ込みを使うのがオススメです。「裏あみ込み」とは3本の毛束のうちの一番外側にある2本の毛束を下(裏)方向にまわし込み、真ん中の1本の毛束が上(表)方向にまわし込んで編んで行く編みかたをいいます。

  まず、パートをジグザグにとり、小さいほうのサイドを、パートの終点から耳後部まで頭の丸みに沿って曲線を描くようにセクショニングします。

   次に、最初に大きなセクションから編み込んでいきます。写真のように左パートの場合は最初のスライスを3本に分けたら、まず右側の毛束を真ん中の毛束の下にまわし込んでスタートしていきます。ダウンステムになるように常に手の位置を低く保ちながら裏あみ込みします。スライス幅は約2.5cmくらいで頭の丸みにそって緩やかな曲線を描くようにとります。写真のように、スライスはリングコームのテールを使って取り、取った毛束を手の中にある3本の毛束のうちの右の毛束に混ぜて編みます。

  そして、フロントの髪も同様に編み込みます。この時、編んだ束が込み髪の少し上くらいに来るように編みます。

  編んだ束をバランスを見ながら丸めてアメピンで留めます。

  今度は小さいほうのセクションを編み込んでいきます。パートと前額髪際の交点からスタートします。スライスは前下がりの斜めスライスに取り、最初のスライスのスライス幅は、約5mmくらいでスタートし、少しずつ幅を厚くしていきます。編み方の詳細はラージセクションのときと同様です。
  次に編み込んだ束を大きくほぐし、バランスを見ながら大きく丸めていきます。

 完成です。

・スタイル② 「フィッシュボーン編み」を使ったスタイル

「フィッシュボーン編み」は、まず2つの毛束を持ち、両方の毛束から細く毛を取り出してその毛束を中央でクロスさせて編み込んでいく、変形の4つ編みです。魚の骨のような形状になるのが名前の由来です。一度編んだ毛を大きく引っ張りだしたり、ほぐしたりしていろいろなデザインが可能です。ここでは、ほんの一例をお見せします。

  まず、ジグザグの線を描きながら、トップを大きくセクショニングします。
  そして、フィッシュボーンに編み込んでいきます。毛先を少し残して編み込んだら、トップのボリュームを見ながら編んだ髪を引っ張りだして高さを調節し、バランスを見ながらフロントで丸めてアメピンで留めます。その後、下のセクションも同様に編み込み、トップ付近の髪を引っ張りだして高さをちょうせつし、ネープ付近で丸め込んでアメピンで留めます。
    完成です。

・スタイル③ いろいろな編み方を使ったスタイル

ここでは、「表あみ込み」「裏あみ込み」「フィッシュボーン」「変形コーンロウ」「ロープ編み」をつかってスタイルを創っていきます。

  最初に、ジグザグラインで外郭線でセクショニングし、まずバックセクションをフィッシュボーンに編んで大きくほぐし、トップの高さの調節をしながらアメピンで固定します。
    その毛束をネープ付近で丸めてアメピンで固定します。
  次に、右サイドを裏あみ込みにします。編んだ後に大きくほぐしてから、ネックラインに沿って這わせて、ネープで丸めてある髪に入れ込んでピニングします。
その後、フロントからトップにかけてを後ろに向かって表あみに編んでからフロントの毛を引っ張りだして高さ調節してピニングし、左サイドを4本の変形コーンロウ(ここでは交互に裏あみ込みとコームシェープ)にして、コームシェープした2本の毛先のみタイトロープ編みし、その毛先を右バックサイドまで持っていってピニングして完成です。

   

●③お客様への落とし込み(一例)

ウィッグで学んだ編み込みの技術やバランスの取り方、似合わせかたなどを用いて、実際のお客様に対する施術に生かしていきます。

・お客様① 「タイトロープ編み」「裏あみ込み」「フィッシュボーン」を使った『甘辛系』スタイル

    こちらのお客様には、フロントから右サイドにかけてタイトロープ編み、左サイドは裏あみ込み、バックはフィッシュボーンを使いました。

・お客様② 「裏あみ込み」「フィッシュボーン」「ねじり込みのルーズなコーンロウ」を使った『お嬢様系』スタイル

    こちらのお客様には、バックにフィッシュボーン、右サイドに裏あみ込み、左サイドにねじり込みのルーズなコーンロウを使い、フロントはポンパドールにしました。

●④最後に

 編み込みをはじめとしたアップスタイルのテクニックを自信を持ってお客様に提供出来るようになるためには、理容のほかの技術と同じように、大変な努力が必要だと感じます。でも、アップセットをするために来店するお客様はほとんどが、その後ハッピーセレモニーにお出かけする方達なので、そのハッピーオーラを感じながら、幸せのおすそ分けをして頂きながら仕事が出来ることが、最高に幸せな職業なんだと思うので、頑張って師匠の中内英雄・浩司両先生のように自由自在に仕事が出来る技術と感性を身につけたいです。これからもがんばります。

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