~理容業への念い~ 1992年、私がこの業に就いたのは、ちょうど幕張で世界大会が行われた年でした。その頃、自分はどういう念いで、理容師になろうと決め、どんなことを胸に抱いていたのだろうか。 また、2000年ミレニアム。私が修行を終え、新しくお店をオープンした年です。その時、自分はどんな夢を持ち、どんなビジョンを描き、その為に何を目標として努力をしていたのだろうか。 最近ふと、そんな事を考えることがあります。今、尚、大きな夢を持ち続けているだろうか?現状に満足し、向上心を欠いてはいないだろうか?初心に帰る事で、私とサロンの問題点が次々と浮き彫りになり、理念に立ち戻る事で、その大切さを改めて感じます。理念とは“理想の姿を念じるが如く、強く、強く思う”こと。“理容業を通して自分自身を磨き・理容業を通じて社会に貢献する”。これが私とサロンの経営理念です。 理念を自問自答する事で、自分が今、すべき事が、うっすらではありますが、見えてくる気がします。“理容業を通して自分自身を磨く”為には、具体的にどういうことをすればいいのだろうか?また、“理容業を通じて社会に貢献する”為には、何を優先順位と考え、物事を判断するべきなのか? 稲盛会長の言葉に、“~働くことが人を作る~”という名言があります。“人生の目的は、心を高めることである。そして心を高める最もいい方法が、懸命に働くことである”と説いていらっしゃいます。この言葉を深く考えると、自分はそもそも、何の為には生を授かったのだろうか。そして、どうすれば自分の人生の足跡を、この業を継ぐ後世や子供に残せるのだろうか。そもそも自分は、この世に生を授かった一人として、責任を果たせるような生き方をしているだろうか?と、何か凛とした思いになります。自分に奢ることなく、謙虚に生き、努力し続けることは、大変難しいですが、常に理念と向き合うことで、自分さえ良ければという気持ちを、少しでも抑えることができます。“己を磨く”とはそういったことの積み重ねではないかと考えております。 また、理容師である私にとっての社会貢献とは、お客様をカッコ良くし、お客様に喜んで頂き、お客様の幸せのお手伝いをする。これ以外にありません。そこで、一人でも多くのお客様の幸せのお手伝いをする為には、どういった創意工夫をしなければならないのかを、常に考える必要があります。それこそが、理容業が本来持っていた、“社会性と創造性”を今一度高め、また世間様から必要とされる、価値ある仕事だと感じて頂ける、これからを生き抜く、唯一の道標ではないでしょうか。私はお客様の幸せのお手伝いをしているつもりでいて、実際は、私自身がお客様から多くの幸せを分けて頂いて日々を過ごしているのです。でも、できれば与えられる側から、与える側の人間に近づきたいと思っております。だからこそ、より器の大きな自分を目指し、誠実に人生と向き合いたいと考えております。40歳になり人生の折り返しに立つ今、縁有り、理容を業とするにあたって、“一生勉強・一生青春・一生感動・一生理容”の念いで精進いたしますので、今後も日技会の皆様からのご指導を頂きますようよろしくお願いします。 田中 一隆 プロフィール 1973年4月13日生まれ B型 立命館大学経営学部卒 |