NRG 日本理容技学建設会
 

 
 
       山本丈吉

 【メール】
 
rambutdino@blue.plala.or.jp
 【ホームページ】
 http://www.rambut.biz/

  
   

 日本理容技学建設会の皆さんこんにちは、兵庫県の山本丈吉です。 

私は、小・中学校の担任の先生の、無神経な一言で、学校の先生を否定して生きてきました。でも、私の人生を変えてくださった先生が一人だけいらっしゃいます。
高校2年生の終わり頃、「もう勉強はしたくないし、サラリーマンにもなりたくない!」と、思いつきで理容師になることを決めた私は、高校卒業後近所の行きつけの理容室に就職が決まり、その先生の勧めで、朝学校へいく前に店の掃除をし、クラブが終わってから店の手伝いに行くようになりました。3年生の9月からは理容科の夜間にも通うようになりました。
みんなは、昼も夜も学校に行って大変だと思ってくれたようですが、実際は高校では理容を、店では高校を言い訳に使いながらどちらも中途半端に気楽で楽しい高校生活を送っていました。全然勉強しないのでテストは欠点ばかりでした。その中でも日本史は最悪です、追試の前日も全く勉強しないでテストを受けるのですから、点数は「10点」でした。日本史の先生に「山本!昨日勉強したのか?」と聞かれたので「あのぉ~、昨日ぉ~」と言いかけた時に先生が
「それ以上言うな!!」「お前が理容師になるために夜間の学校に行って、休みの日は散髪屋さんで修行して頑張ってることは学校中の先生がみんな知っている。」「だけどそれを自分で口に出したらお前の人生は言い訳の人生になるぞ!」って言われました。
高校生の私には理解できずに「何を訳のわからん事ゆうとんねん?」「変なおっさん!」ぐらいにしか思いませんでした。
理容師になってコンテストに出場するようになって2~3年たった頃、成績も好ましくなく「モデルが悪いから!体調が悪かったから!」と思った時「・・・???・・・・・?????」「あれっ?これって何?自分に言い訳してる?」その時、高校の社会の先生が言った「言い訳の人生」を思い出しました。自分の発言や行動はすべて自分で責任をとることを学びました。今でも言い訳したくなることは何度もありますが、先生の言葉を思い出しながら自分に負けない努力を続けています。
その日本史の先生にあの時のお礼を言いたいと思い続けて、やっと昨年先生のクラスの同窓会に押しかけてお礼を言うことが出来ました。先生は表情を変えないで「同じことを言ってもいつまでも解らない人が多い中で、それに気づいたお前がえらいんや!」とやさしく褒めててくださいました。本当に心から感謝しています。
それ以来、私の子育て・スタッフ教育の基本は「人には嘘をついても良いが、自分自身に言い訳しない!」です。(だけど嘘はだめですね。)

話は変わりますが、昭和34年生まれの私が理容業界に入った頃はパーマ全盛で若い人はみんな耳が隠れるヘアスタイルしていて、頭を刈り上げているのはおじいちゃんか銀行員だけでした。
当時、私達の理容師試験は相モデルだったのでバリカンを入れられて刈り上げられた髪が伸びるまでは外出先でも恥ずかしくて若い女性の近くには行けませんでした。
そんな私ですからミディアムの基本技術は勉強したこともなく、どこの研究会にも所属しないで我流で勉強しました。基本も理論もないので時間がかかるのを丁寧だと勘違いして、喜んでくれるお客様はたくさんいらっしゃいました。
流行のスタイルを作っていれば何とかなってしまっていて、それなりにお客様も来て頂いていたので、自分自身が上手だと錯覚していました。
コンテストは第三部門やフリースタイルで出ていましたが、カットは適当でドライヤーのセット技術だけで作品を作っていたように思います。(現在もそのような選手は大勢いるかも知れませんが・・・)
組合の講習会にはよく参加しました。①②③④⑤・・・・・と順番を教わり、帰ってからはマニュアルをみながら、何故そうするのかは全く考えないで順番通りにカットする練習を繰り返しました。
十数年前、兵庫県の駒井幸太郎先生をお招きしてミディアムカットの講習をしていただいた時、駒井先生の仕事を見て感動しました。かっこ悪いはずのミディアムカットが、かっこ良い!おまけに鋏の開閉回数が少なく時間も早い!完璧!目から鱗とはこのような時に使う言葉だと思いました。だけど先生の説明を理解する能力が私には全くありませんでした。十数年、毎日「あぁ~でもない?こぉ~でもない?」と考えながらカットしているうちになんとなく解ったような気がしてきました。まだ「解ったような?」の範囲ですが、ミディアムカット理論と技術の習得は今後も必要で、すべてのスタイルに応用出来ると確信しています。
二年前、兵庫県組合で水嶋光明先生に講習していただいた時は、三時間という短い時間のなかでとても解りやすく、中身の濃い内容の講習をしていただきました。水嶋先生の技術と理容業界に対する想いに感激しました。
しかし、日本理容技学建設会の皆様方が何年もかかって習得された技術は、1回だけの講習で理解し出来るほど簡単なものではないことは十分理解しています。
「あんな頭をするお客さんはうちには来ない!」「今さら、ミディアムを覚えても仕方ない!」と言う人に、「そうじゃない!絶対に必要だ!」と理解してもらう説明が出来ない自分が情けなく思います。
こんな私の出来ることは、尊敬できる人間性のすばらしい技術を持った方と組合員のみなさまとの橋渡し役だと思っています。
それで日本理容技学建設会の皆様方にお願いがあるのですが、すばらしい理論・技術を若い理容師達に講習するときに、当然立ち位置や順番も大切なのは分かっていますが、何故そのようにするのかが印象に残る講習をしてあげていただきたいと思います。
中途半端な知識で不愉快なことをお願いしているかも知れませんがよろしくお願いいたします。
僕が会員便りに原稿を書かせていただくなんて、全く考えられないことでした。このような機会を与えていただいた日本理容技学建設会の皆様に感謝いたします。
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