NRG 日本理容技学建設会 |
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姿勢はどの分野でも大切と言われていますが、意識していても姿勢は段々と悪くなる人が多いと思います。 姿勢が悪いと身体にどのような影響があるのか?また、どうすれば姿勢がよくなるのか?身体の構造とともに説明していきます。 Ⅰ 仙骨 1)仙骨とは? 人間の柱とも言える背骨の一番下に位置する、二等辺三角形を逆さにしたような形で背骨の土台となる大切な骨です。例えばだるま落としを例に挙げると、一番下の一つがズレてしまうだけで、一番重いだるまの頭の部分を支えてバランスを保つために、少しずつズレてしまいます。同様に私たちの骨格も、仙骨のズレによりすべての背骨に影響が及んでしまうのです。 2)仙骨の役割 日常生活においても、運動中でも、身体を動かすことが上手な人は、上半身と下半身をバランスよく動かすことができます。それに対して身体を動かすことが苦手な人は、上半身と下半身の動きのバランスが上手くとれません。私たちの手足は身体の中心である胴体についていて、その動きによって手足は動かされています。その胴体を支え、また上半身と下半身をつなげるカスガイの役割をしているのが仙骨!つまり、仙骨を意識して日常生活を送ることが、身体を上手に動かす近道であり、仙骨はそれだけ影響力のある骨だということが言えます。 Ⅱ うんこ我慢の姿勢とは 仙骨を意識した日常生活における姿勢に「うんこ我慢の姿勢」があります。 1)「うんこ我慢の姿勢」とは? ① 尻を丸めるようにしてお尻の筋肉を締める。(仙骨の締め) ② さらに強くお尻を締めるため、背筋をぎゅっと伸ばす。 ③ 後に全身の筋肉を使ってお尻の筋肉を意識するために、首を後ろに引き寄せる。(首の後ろ固定) その状態は、喧嘩に負けてしまった犬が、自分の尻尾を股の間に丸ねる姿に似ています。 2)「うんこ我慢の姿勢」と仙骨の関係 日常生活において仙骨は、骨格の構造上大きく分けて、「仙骨を締めた状態」と「仙骨を返した状態」の二種類に分けられます。 【仙骨の締め】 ・これが「うんこ我慢の姿勢」 ・背骨の土台が活かされている ・しっぽを丸めるようにして仙骨を締めると、背骨の湾曲が緩やかになり、どこか一部分に無理な負担が掛からなくなる。 【仙骨の返し】 ・いわゆる「反り腰」の状態 ・背骨の土台が活かされていない ・腰の一部、一番反っている部分に上半身の重さが乗ってしまう ・腰を回す動作をすると反った部分の一点に負担が掛かってしまう この状態から「うんこ我慢の姿勢」が、仙骨を活かした身体に負担の無い日常生活において望ましい姿勢であることがわかります。 Ⅲ 首の位置 良い姿勢のためには、仙骨の状態とともに重要なポイントは首の位置です。首の位置によって首からの体幹が一本化され、背骨の正しい湾曲が作られるからです。 1) 首の後ろ固定 「うんこ我慢の姿勢」のところでも出てきましたが、首全体を後ろに移動(首の後ろ固定)させることで、首の動作が減り、安定が増します。逆に、首が前に出ていると安定せず、見た目もだらしない姿勢になってしまいます。 2)首を後ろに固定するとは? その方法は“首全体を後ろに移動”(首の後ろ固定)させること 注意することはアゴをのど仏に引くのではなく、首全体を後ろに移動することです。首の位置を前にすると可動域は広くなれけども安定せず、首の位置を後ろにもっていくと首の動作が減り、安定が増します。 Ⅳ 悪い姿勢 悪い姿勢はその見た目から与える印象のマイナス面だけでなく、健康面にも多大な影響を及ぼします。 ・身体にかかる負担が増し、腰や膝に無駄な負担をかけてしまう。 ・特に背中を丸めた姿勢は、肺を圧迫することで呼吸が浅くなり、全身が酸欠状態になり、血流を悪くして冷え性やむくみの原因になる。 ・内臓圧迫から食欲不振や便秘になり、消化器官系統が正常に機能しなくなる。 Ⅴ まとめ 仙骨の締めは背骨の下半分に軸を作り、首の後ろ固定は背骨上半分の軸を作ります。つまり仙骨の締め、首の後ろ固定が、良い姿勢には必要だということです。この二つが揃うことで体全体の軸ができるのです。 左図でもわかるように、左側は首を後ろに引き付けることで首から仙骨まで背骨が一本の軸になっています。逆に右側は首が前傾し、アゴが前に出た状態により、軸が分散されてしまいます。 以上のことからも仙骨を締め、首後ろ固定をすることで、正しい姿勢が得られ、より健康で快適な日常生活につながるわけです。 このように頭に荷物を乗せて日常生活を置きっている人の写真をよく目にしますが、この人達は、普通では長時間持つことができないような重い荷物軽々と頭の上に乗せて歩くことができます。それは背骨の下半分と背骨上半分の軸が出来ているから軽々と歩くことが出来るのです。それが証拠にこのような人々に猫背など姿勢が悪い人はいません。 理容師の仕事にはカット、シャンプー、シェービングなどありますが、技術を行う際仙骨を締め下半身を安定させ、上半身と結びつけることでブレがなくなり、安定した技術を得ることができます。逆に仙骨を返してしまうと、どうしても下半身と上半身の動きにズレが生じてしまい、結果的に指先にも影響がでてしまいます。さらに仙骨の締めは縦のブレを少なくし、首後ろ固定は左右のブレを少なくしてくれます。左右の腕の遊びを少なくしバランスのとれた動きを保つことで、身体に負担を掛けることなく、良い姿勢で技術が行えるのです。 以上のことから、姿勢の大切さ、特に仙骨を意識した「うんこ我慢の姿勢」の大切さを理解していただけたと思います。簡単だけど意識しないとなかなか出来ないこの「うんこ我慢の姿勢」を少しでも明日への営業に役立てていただければ幸いです。自分自身もこのうんこ我慢の姿勢をしながら、日々精進していきたいと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございました。 参考資料 著者 吉田始史 監修 高松和夫 『仙骨姿勢講座』 |
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