NRG 日本理容技学建設会

      第7回 岡山本部 太田 剛
                           マニピュレーション セラピー

                    bb.jack1977@gmail.com


マニピュレーション
 手指によって直接施されるマッサージ技法の総称

マッサージと按摩
 西洋から伝わった按摩法のことのように考えられているが、厳密には、マッサージは静脈血の流れをよくする為に行われるもので、求心的である。これに対して按摩は、動脈血の流れをよくする為に行われるもので、遠心的である。マッサージでは血液をからだの中心部へ送り返すような働きがあり、按摩は血液をからだのすみずみにまで送る働きがある。その基礎になるものは
 ① 皮膚をこする(強擦法および軽擦法)
 ② 皮膚をつまむ(柔撚法)
 ③ 皮膚をたたく(叩打法)
 ④ 皮膚を押したり圧したりする(圧迫法)
 ⑤ 皮膚を振動させる(振動法)             
 などがある。なお、しわに対しては縦の方向に、筋肉に対しては、その走る方向に沿って行う。
 マッサージの効果としてはだいたい次のようなことがあげられる。
 ① 知覚神経を適度に刺激すると同時に、毛細血管を拡張して血液の循環を促し、皮膚の栄養補給を良好にする。
 ② 小血管の充血を高めて新陳代謝を促し、同時に皮下の老廃物を除く。
 ③ リンパ管の働きを高め、また精神をさわやかにし神経の機能を整える。
 マッサージはひとりひとりの体力、環境に応じて適当に行うことが大切である。また現代ではリハビリテーションとして自力で筋肉や関節を生理学的な限界まで使うことによって鍛えようとする療法もある。

肩こりの原因と要因
 人間はとてつもない長い時間をかけて、現在の形へと進化してきました。その結果作りあげられた私たちのからだは、多くの筋肉、神経、骨などが絡み合って動く、超精密マシーンといっていいでしょう。しかし私たちは、この長い進化の歴史をすっかり無視してしまっています。悪い姿勢、生活習慣の乱れ、運動不足。これらをもつ人に共通の要因はいずれも、特定の筋肉ばかりに負担を与え、疲労させることなのです。実はこれが肩こりの原因なのです。つまり、肩こりの原因は「全身を使わないことによる筋肉疲労」です。

運行順序
①指頭揉撚法 ②小指球揉撚法 ③母指球揉撚法 ④頸部指頭揉撚・指圧法 ⑤手指振動法 ⑥叩打法-指腹打法 ⑦叩打法-指頭打法 ⑧叩打法-指側打法
⑨肩甲上部拍打法
  
⑩肩甲上部母指指圧法
 大杼を起点とし、母指で上下左右に指圧する。
   
⑪左後頚部母指指圧~大胸筋手根圧迫及び手掌揉捏
 体位、左後方45度、乳様突起の前にあるくぼみ(翳風)から、後頚部と頸動脈部の境を軽く指圧しながら後方にトウターンし三角筋と大胸筋の境(中府)を左手で手根圧迫、その後大胸筋全体を手掌揉捏する。このとき右手は肩甲部を握り拳で支える。
   
  
   
⑫左上腕~前腕部双手把握揉捏及び双手母子圧迫
 腕を左脇で抱え、心臓の高さにあげ腋窩リンパ節(極泉)を双手把握揉捏。その後、手のひらを上に向け手首を持ち上腕~前腕にかけて、母指圧迫及び手掌揉捏をする。
   
⑬左手掌両母指圧迫揉捏及び双手母指球揉捏
 母指と示指の間、小指と環指の間に指をかけ手のひらを広げる。
 小指球と母指球を母指圧迫のち指先を摘む。
 母指球と小指球を双手把握揉捏し、合谷を揉捏~圧迫する。
   
  
⑭左肩甲部母指圧迫~強擦
 左手を右肩に回し肩甲骨に沿って軽く母子圧迫のち母指球または小指球で肩甲骨に沿って強擦しながら左手をおろす。
   
⑮肩甲上部拍打法 ⑯右後頚部母指圧迫~大胸筋手根圧迫及び手掌揉捏
⑰右上腕~前腕部双手把握揉捏及び双手母指球揉捏
⑱右肩甲部母指圧迫~強擦
⑲後頚部把握揉捏
 額に手をあて、頭を後方に倒しながら、どれだけ筋肉がほぐれているか確認しながら軽く揉捏する。
  
⑳脊柱部~寛骨部両母指圧迫及び母指揉捏
 椅子の背もたれを倒し、首を後ろに反らさせ脊椎の両横、指一本分外側を寛骨部に向かって母指圧迫及び母指揉捏する。
   
   
○21上肢伸展
 ヘッドレストを上げ、頭をもたれさせ上腕部を持ち、大胸筋を広げるように腕を回す。
   
○22大胸筋手掌揉捏
 椅子を倒し、大胸筋・三角筋を手掌全体でほぐすように軽く揉捏する。
   
○23後頚部伸展~肩甲上部両母指圧迫
 両四指を後頚部にそえ、上部に引き上げるように伸ばす。
 僧帽筋上の肩井から肩?にかけて母指圧迫。
  
○24肩甲上部~上腕部把握揉捏~軽擦

施術時のポイント
 お客様には、椅子の奥深く座ってもらい、顎を引いてもらいましょう。
     
            
       
 技術者は肩の力を抜きリラックスして、リズムよく強弱の波をつけて行います。例えば、静から動へ・・・動から静へ・・・。静の時は手掌全体で軽く揉捏、動の時は体重を乗せるように圧迫します。必ず次の行程へ移るときは、添え手をお客様の体から離さない事が大切です。添え手を常にお客様に密着させているだけで、安心感を生みます。添え手を離してしまうと、マッサージ全体のリズムが狂い、途切れ途切れになるので快感が半減します。

※注意点
 指先ばかり使って揉み解す人もいますが、無理な力を加えすぎると、かえって筋肉を傷めてしまったり、翌日に筋肉痛などいやな症状が出ることがあります。また、ひどいコリや筋肉痛がある人には、極力、軽擦をしながら軽い力でしましょう。
 マニピュレーションには、ツボ押しがあるため、次のような人には控えましょう。
 ・飲酒後  ・けが(捻挫・打撲・肉離れ・骨折・脱臼・ヘルニアetc.)
 ・発熱時  ・重度の内臓疾患のある人
 お年寄りは、筋肉も骨格も弱くなっているので軽い力でしましょう。
 妊婦へのマッサージは効果はありますが、体がとてもデリケートな時期なので、強い刺激は禁物です。リラックスできる程度のやさしい指圧にとどめましょう。

主なツボの図解と概要
○翳風
 乳様突起の前にある、小さなくぼみの中。顔のまひ・けいれん・頬のはれや歯痛に効果あり。またこれらが原因で起こる首や肩のこり・痛みをやわらげる。その他、難聴・耳の痛み・めまい・乗り物酔いにも効果あり。
○中府
 前胸部で、第一肋間(第一肋骨と第二肋骨の間)と同じ高さにあり、鎖骨の下のくぼみの外側で、前正中線から親指の幅六本分外側。せきやたん・息切れ・のどの痛み・鼻水・慢性気管支炎・ぜんそく・風邪・乳腺炎・五十肩・胸郭出口症候群に効果あり。
○極泉
 わきの下(腋窩中央)にあり、この部分の腋窩動脈の拍動を感じるところにある。五十肩・頸肩腕症候群・テニスひじなどの痛み・肋間神経痛に効果あり。
○合谷
 手の甲側、示指のつけ根で、指の骨と手根の骨との間をつないでいる二番目の細長い管状の骨(第二中手骨)の中間点の外側。頭痛・歯痛・のどの痛み・鼻血・鼻水・口内炎・耳鳴り・視力低下・脳血管障害・むち打ち症・下痢・便秘・腹痛・腕の神経麻痺・月経痛・月経不順・高血圧症・低血圧症・むくみ・疲労倦怠感・てんかん・子供のひきつけ・円形脱毛症・乗り物酔いetc.に効果あり。
○肩井
 後ろ首の根元の第七頸椎棘突起(椎骨の甲は市が突出している部分)と肩先(肩峰外縁)を結んだ線上中間点ある。肩や首筋の痛みやこり・頸肩腕症候群・頭痛・うつ病・自律神経失調症・高血圧症・眼精疲労・過労・のぼせ・冷え症などに効果あり。
○肩ぐう
 上腕を真横に上げると、肩の先端に二つのくぼみができ、肩ぐうは、このうちの前のくぼみにある。五十肩・頸肩腕症候群・関節リウマチ・上腕神経痛・湿疹・蕁麻疹・歯痛などに効果あり。
 
 


※日技会・岡山本部では、マニピュレーションセラピーの技術指導を致します。
 お問い合わせ先・・・TEL086-772-0576(三上)
 http://nichigiokayama.web.fc2.com/


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