第3回 【時代を勝ち残るための施設散髪】
東京本部 秋田光紀(北海道在住) zbh28870.olive@orange.zero.jp
日本経済が停滞する中、理容業界を取り巻く環境も一段と厳しさを増しています。
少子化の影響で新規顧客の開拓もなかなか難しいのが現状です。
普段はお客様を迎え入れる態勢ですが、ここはひとつ、もう1歩外へ活動の場を広げてみましょう。
どの業界も不況に喘ぐ中、福祉業界は年々活況を呈していて、関連業界もそのすそ野を広げています。
世界一と言われる高齢化率を背景に、いまや福祉業界は私たちの生活に深く関わって来ています。
日本中に福祉施設が増え続けている今、彼らのニーズを掴むことは理容業界の活性化にも繋がるはずです。
私たちは10数年前から複数の理容店と共同で、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、民間の老人施設、各病院と契約し、月1回あるいは要望に応じ各施設内で理容サービスを行っています。
施設の入所者である彼ら(彼女ら)は、普段行き慣れた理容店(美容店)に行きたくても行けない「理容難民」でもあるのです。
各個店では対応も大変ですが、数店で対応すればそのメリットも高く、施設側、お客様側からの信頼度も上がります。
また、日常のお客様からの評価も高くなるという+αの効果もあるので、是非皆様も参考にして頂けたらと思います。
現在、3店舗7名の技術者(以前は6店舗10名)で対応しています。毎回ほぼ全員で施術します。
基本的に月1回、定休日に午前中に1施設、午後から1施設、各施設とも30〜40名程度の施術を行います。
民間施設や病院は依頼があれば随時出張して行います。
老人施設には、その計画段階から要望を出し、施設内に理容室を設けて頂いています。
消毒設備はもちろん、理容器具や洗濯、清掃設備が常備出来るのは定期的に集団で施術する上で必要ですね。
特別養護老人ホーム等は、入所している老人の身体の状態が一般のお客様と違うので、一定のノウハウが必要です。
料金は普通料金より低く設定しています。金銭の管理は施設側にお任せして、集金後一括して入金して頂きます。
個店ではなく、複数の理容店(団体)で対応するメリットは、施設側の信頼を得やすく、契約を結ぶ事により他店(安売り店)等の介入をしにくくすることが出来ます。
また、理容店同士の関係も親密度が増し、組合活動にも良い影響があります。
老人施設の施術ノウハウはそのまま高齢者世帯の出張散髪にも活かせますし、施設散髪を手掛けている、という評判で出張散髪の依頼も増えてきます。
今後ますます高齢化が進む時代、いかに早くそれに対応するノウハウを獲得し、施設側の信頼を勝ち取り、施設入所者を「安定した固定客」とするか。
志を同じくする同業者と「組織」として活動するのも一つの方法になると思います。
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